クチを使わずにモノを言う方法 1/3話(出典:碧巌録第七十則「潙山侍立百丈」)

潙山(いさん)和尚らが師匠の百丈和尚の脇に控えていた時のことです。

百丈和尚はふと思いついたように弟子たちに訪ねました。
「なぁオマエたち、クチをふさがれた状態でモノを言うにはどうしたらよいと思う?」

潙山和尚は言いました。
「・・・逆にお尋ねしますが、師匠ならどうされますか?」

それを聞いた百丈和尚は次のように答えたということです。
「いや、ワシはもちろん言えるけれども、ワシが言ってしまったのでは修行にならんだろう?」

単に受け流しただけのような答え方ですが、実はこの時点で百丈和尚は大切にしてきたものを弟子たちにかっぱらわれていることに、皆さんお気づきでしょうか?

この時、百丈和尚は一緒にいた弟子の五峰和尚にも話を振りましたが、彼の答えは「師匠・・・ちゃんとふさいでおかなきゃダメじゃないですか!」というものでした。
百丈和尚はそれに対して「ほう! それならワシは周りに誰もいないところまで行って、オマエのことを遠望することにしよう。」と言ったとか。

また、同様に弟子の雲巌和尚にも振りましたが、彼は「師匠・・・ケチケチしないで教えてくださいよ!」と答え、百丈和尚は「だからそれじゃ修行にならんと言っておるだろう!」と言ったとか。

百丈和尚も百丈和尚ですが、弟子たちもなかなかのやり手だとは思いませんか?(笑)

「平地上は死人だらけ、イバラの森をくぐり抜けてこそ生者!」というのはまさにこのことですね!

―――――つづく

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