雪竇和尚は文才がほとばしるあまり「伝説の神仙郷「十洲」の春も終わって花はしぼみ、サンゴ礁には燦々と日が照りつけている」などと難解なことをおっしゃっています。
遠い海の彼方には仙人が住むという十の島があり、そこでの春は通常の百年に相当するのですが、それが終わる時、サンゴを除く十万種以上の花・植物が一斉に枯れ落ちるのだとか。
その様がまさしく潙山和尚の「師匠ならどうされますか?」と同じだとおっしゃりたいようなのですが、皆さまおわかりいただけますでしょうか?(苦笑)
最後に蛇足ながら伝説の仙郷「十洲」と「サンゴ」の解説をさせていただきますので、よろしければ参考にしてくださいませ。
十洲:
- 祖州:反魂香が特産品。
- 瀛洲:霊芝や宝石の原石を産出。
- 玄洲:寿命を長くする薬が取れる。
- 長州:木瓜(ぼけ)や玉英の群生地。※玉英の花びらは不老長寿の薬になるという。
- 炎洲:火に燃えない布が特産品。
- 元洲:蜜の味がする泉がある。
- 生洲:一年中、暑くも寒くもない気候。
- 鳳麟洲:切れた楽器の弦をつなぐニカワ(続弦膠)が特産品。※鳳凰のクチバシと麒麟の角が材料。
- 聚窟洲:頭部が金属でできたライオンに似た動物が生息。
- 檀洲:崑吾石が特産。これで作った剣はダイヤモンドを泥と同じように切ることができる。
サンゴ:
- 大陸から西南に3,200kmほど行ったところの海底に大岩が沈んでおり、その上に群生する。
- 非常に硬く、採取するときは鉄線で編んだ網を使う。
- 60~90cmほどの高さの樹状を呈し、枝はあるが皮がなく骨組みのようであり、色は宝石のようなしっとりとした紅色である。
- 月夜の晩に一斉に産卵し、全ての枝先に月暈のような卵がかかる。
<クチを使わずにモノを言う方法 完>
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