終末の劫火 1/3話(出典:碧巌録第二十九則「大隋劫火洞然」)

魚が泳げば水に濁りが生じ、鳥が飛べば羽毛が散る。
黒と白を取り違えることなく、主人と客を間違うこともない。
それはあたかもピカピカに磨いた鏡のようであり、手のひらに乗せた水晶玉のようでもある。

・・・はてさて、私はいったい何の話をしているのでしょうか?

とある僧と大隋禅師こと法真和尚の問答をご紹介しましょう。

僧:「終末の劫火が燃え盛り、この世の全てを焼き尽くしてしまった!
さてそんな時、「例のもの」は無事でしょうか? それとも滅びてしまうのでしょうか?」
真:「そりゃあ滅びちまうよ!」

僧:「・・・それでは私も後を追うとしましょうか。」
真:「それがいい!そうしなさい!!」

法真和尚は四川省中部の出身で、大安禅師の後継者です。
悟りを得るために師匠を六十回取り替えたといいます。

潙山(いさん)和尚のところで炊事係を務めていた時、潙山和尚が尋ねてきました。

潙:「オマエはここに来てもう何年にもなるというのに、ワシのところに質問にも来ないでいったい何をやっとるんじゃ?」
真:「・・・私にどんなことを質問させようというのですか?」

潙山和尚が「わからないなら「ぶっちゃけ「仏」ってナニ?」と質問しなさい」と言おうとした途端、法真和尚は潙山和尚の口を手で塞いだそうです。

潙山和尚は言いました。

「やるじゃないか! ここまで徹底できるヤツはもうオマエで最後かも知れんな。」

「阿毘達磨 倶舎論(あびだつまくしゃろん)」には、「宇宙には生成・安定・崩壊・空の四つのフェーズがある。 崩壊のフェーズに入る時、まず大火災が発生してこの世の全てを燃やし尽くし、そして大水害が発生して燃えカスを全て洗い流し、それから大風害が発生して全てを吹き飛ばし、全ては空に帰る。空は混沌を内包し、やがて再び生成のフェーズに回帰する。「全て」とは言ったが、ここで滅びるのは物質世界におけるレベル3までである。」と書かれています。

冒頭で法真和尚と問答した僧はこれを踏まえて質問しているわけなのですが、この僧が言うところの「例のもの」とはいったい何のことなのでしょうか?

―――――つづく

☆     ☆     ☆     ☆

※超訳文庫が電子書籍化されました。第1弾は『超訳文庫アングリマーラ Kindle版』(定価250円)です。どうぞよろしくお願いいたします。〈アングリマーラ第1話へ〉