ディアハンター 2/4話(出典:碧巌録第八十一則「薬山射麈中麈」)

そういえば三平和尚が初めて石鞏(せっきょう)和尚のところに問答に訪れた時、石鞏和尚はいきなり三平和尚に向けて弓をギリギリと引き絞った挙句、「矢を見ろ!!」と叫んだそうです。※石鞏和尚は猟師出身。

それを聞いた三平和尚、胸をグイっとはだけると「おっと! それは人を殺す矢ですか? それとも活かす矢ですか?」と言いました。

すると石鞏和尚は無言で弓を空射ちしてベン、ベン、ベン、と三度鳴らしました。

それを見た三平和尚は深くお辞儀をしました。

石鞏和尚は「ワシは三十年来、一張の弓と二本の矢を使って大勢の人を射てきたが、今日、ようやく半人前の聖人を射止めることができたわい。」と言って、その場で弓をへし折ったとのことです。

後日、三平和尚がこの話を侍者を務めていた大顛和尚にしたところ、顛和尚は言いました。

「その話、なんかおかしくありませんか? 矢を問題にしているんですよね? それなのにどうして弓が出てくるんでしょうか?」

三平和尚はこれを聞いて黙ったままだったとか。

顛和尚はそれを見て、「・・・いや、なんか勢いでイイ話っぽく聞こえますが、例えば今から三十年後に誰かにこの話をしたところで、もうわけがわからないと思いますよ。」と言ったとか。

法灯和尚はこのエピソードに対して、次のようなコメントを残しました。

「かつて石鞏和尚は、三十年も弓を構えて座っていたのに誰にも理解されなかったそうな。幸い三平和尚の方から当たりに来てくれて結果オーライ。よくよく考えてみれば、石鞏和尚が狙っていたのは的ではなくて、的を置く台(垛:あづち)の方だったのだなぁ。」

―――――つづく

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