粟ひと粒 2/4話(出典:碧巌録第五則「雪峰尽大地」)

雪峰和尚は弟子たちに向かって「この世界をつまみ上げてみたら、なんと粟ひと粒の大きさしかなかったのだ!! ・・・」と言ったとのことですが、これは実に、マジメでひたむきな彼らしい言葉なのです。

雪峰和尚は若いころあまりにも思い詰めており、投子和尚のところで三度、洞山和尚のところで九度も食事係を務めながら、なかなか修行がはかどりませんでした。

そんなある日、炊事場に洞山和尚がやってきて、悩めるヤング雪峰和尚に声を掛けました。

洞:「おいオマエ、そんなところでいったい何をやっておるんじゃ?」
雪:「ご覧の通り、コメをといでおります。」

洞:「ホウ、それは砂をといでコメを取り除こうとしているのかな? それともコメをといで砂を取り除こうとしているのかな?」
雪:「・・・砂もコメも取り除こうとしています。」

洞:「オマエ(笑)、それではいったい皆は何を食べたらよいのじゃ?」

それを聞いた雪峰和尚が、といでいたコメをいきなり地面にぶちまけたのを見て、洞山和尚は言いました。

洞:「オマエはどうやらワシのところではなくて、徳山和尚のところの方が向いているようじゃな。徳山のところへ行きなさい!!」

雪峰和尚は徳山和尚のもとへ着くなり尋ねました。

雪:「和尚! ハッキリ仰ってくださいませ。私、この道は向いていないんじゃないでしょうか?」

徳山和尚は棒でバシッと雪峰和尚を打ちすえると、こう一喝しました。

徳:「いったい何を言っとるんじゃ! オマエは!!」

雪峰和尚はそれを聞き、大いに悟るところがあったとか。

その後、山で吹雪に遭って、山小屋に先輩のヤング巌頭和尚と一緒に閉じ込められてしまった時のことです。

雪峰和尚は巌頭和尚に上記のエピソードを披露すると言いました。

雪:「いやぁ、それにしても、あの時の徳山和尚の棒は効きましたよ! 流石は「臨済の喝、徳山の棒」と呼ばれるだけのことはありますね。それまで完全に煮詰まっていた私でしたが、一気に悟りが開けたような気分になりましたからね。」

それを聞いた巌頭和尚は、こう怒鳴りつけました。

巌:「さっきから黙って聞いてりゃいい気になりやがって! なんじゃそのしょうもない自慢話は!! 人から借りたものを家宝にしてどうする? オマエの胸の中からあふれ出すもので天も地も覆いつくして、初めて真っ当な修行者と言えるのではないのか!?」

それを聞いた雪峰和尚は、今度こそ本当に悟りを得て、巌頭和尚に向かって手を合わせるとこう言いました。

雪:「兄さん、ありがとうございます。おかげさまで今、この雪山において私は真の修行者となれたようです!」

―――――つづく

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