粟ひと粒 3/4話(出典:碧巌録第五則「雪峰尽大地」)

そんな彼らのエピソードを聞いて、ひょっとしたら近頃の人たちは「普通に議論すればいいのに、なんでまたワザワザそんな見え透いた思わせぶりコントをやるんだろうね。」などと言うかも知れません。

しかしそれは、諸先輩方をバカにしていることになるだけでなく、ブッダ本人に傷をつけて出血させるような考えです。

昔の人は今の人たちのようにあまり深く考えず適当に流すようなことは決してしませんでした。

ちょこっと聞きかじっただけで悟ったような気になって、修行を止めてしまうようなこともありませんでした。

諸先輩方の言葉は極めて重く、たとえ一言半句であったとしても、天下の人たちがグウの音もでなくなってしまうようなレベルなのです。
申し訳ありませんが、近頃の人が理屈で解釈しようとしても、とても歯が立つようなものではありません。

冒頭の雪峰和尚のエピソードも、それと同じことです。

彼は大師匠のもとでの下積みが長かったこともあり、あれこれ理屈を述べることなく、真実をズバリとひと言で言ってのける見事なワザを持っておられました。

雪峰和尚はまた、弟子たちの前でこんなことを言ったそうです。
「実はこの山には鼻の平たい毒ヘビがいるのだ。諸君、よくよく注意するように!」

この話を聞いた弟子の長慶くんは言いました。
「おっと!死ぬのは誰かな!?」

またある時、雪峰和尚は言いました。
「修行者に本来備わっている真実を見抜く眼が、この世界のすべてを見通している!
・・・さてオマエたち、トイレに行きたくなった時はどうするつもりかね?」

また、こうも言いました。
「この山の中でオマエと出会った。あちらの方の山の中でもオマエとであった。そして僧堂の前でもオマエと出会ったなぁ。」

これを聞いた保福和尚は鵝湖和尚に尋ねました。
「僧堂は我らの日常生活の場だからわかるけど、山とかあちらの山とか、いったい何の話だろうね?」

それを聞いた鵝湖和尚は、猛スピードで自室に帰ってしまったそうです。

―――――つづく

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