結局この僧は最後までツッコミ返すことができず、投子和尚に鼻づらを引き回されてしまいました。
このエピソードに対する雪竇和尚のコメントは以下の通りです。
投子和尚の機転ときたら山の上から転がり落ちてくる大岩のようなもので、誰がどのように立ち向かおうと、おいそれと止められるもんじゃない。
この若者も、命がけでビッグウエーブに挑んだのはいいけれど、やっぱり普通に波にのまれてしまったよなぁ。
ここでもしビッグウエーブを乗りこなすことができたなら、そのまま全ての川を怒涛の勢いで遡っていけたというのに、全く惜しいことだよ・・・
かつて雪竇和尚は投子和尚から直接「オマエ、いつもワシのことを「マジメだ!」「マジメだ!」と言いふらしているらしいが、もしも外で誰かに「投子和尚はいったいどのようにマジメなのですか?」と聞かれたらどう答えるつもりなんじゃ?」と尋ねられ、「「機転がききすぎて余程修行のできた人でも混乱させられます」と答えます!」と言ったとか。
そういえば、投子和尚には以下の様な問答もありました。
僧:「仏とはいったい何なのでしょうか?」
投:「仏だ!」
僧:「道とはいったい何なのでしょうか?」
投:「道だ!」
僧:「禅とはいったい何なのでしょうか?」
投:「禅だ!」
またこのようなものもあります。
僧:「月がまだ丸くなっていない時はどんな感じでしょうか?」
投:「三つ、四つを呑みこむ!」
僧:「月がもう丸くなってからはどうでしょう?」
投:「七つ、八つを吐きだす!」
投子和尚の芸風は、まぁ、こんな感じです。
今回、若い僧からの質問に対し、投子和尚は「本当だよ」としか言いませんでしたが、僧は対応しきれずに二度打たれました。
もしも負けることなく最後まで頑張り通せたならば、「三千里は後ずさり」とか「全ての川を怒涛の勢いで遡る」とかのレベルでは済まず、目の前に急に巨大な山が出現し、一瞬で世界が真っ暗闇になるほどの天変地異が発生すると私は思います。
くわばらくわばら・・・
そんな恐ろしいことになる前に、私はどこかへ逃げさせていただこうと思うのですが、賢明なる読者の皆さんはそんな時、いったい何処に避難されますでしょうか?
どこかよいところがあれば、是非ともご教示くださいませ。
<全ての声は仏のメッセージ? 完>
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