金牛和尚、おおいに笑う 1/2話(出典:碧巌録第七十四則「金牛和尚呵呵笑」)

金牛和尚は食事時になると自ら飯桶を抱えて弟子たちが集まっている部屋に行き、大声で笑って舞い踊りながら「さぁさ、菩薩の皆さん! たんと召し上がれ!!」と言うのが常でした。

雪竇和尚はそれに対して「なんか悪意を感じるよなぁ」とコメントされました。

あるお坊さんが長慶和尚に「金牛和尚の「菩薩の皆さん、召し上がれ!」というヤツですが、あれはいったいどういうつもりなんでしょうか?」と尋ねたところ、長慶和尚は「食べろと言われる前に「ありがとうございます!」と言うようなもんかな。」と答えたとか。

金牛和尚は結局この謎の儀式を20年もやり続けたということですが、果たして彼はいったい何がやりたかったのでしょうか?

「いや、それは食事の時間を知らせに来ただけでしょ?」と思われるかも知れませんが、普通お寺には食事の時間を報せるために打ち鳴らす魚の形をした板とかが設置されていますので、わざわざ飯桶を持ってきて笑ったり踊ったりする必要は全くありません。

金牛和尚は頭がおかしいのでしょうか?

それとも何か大きな命題を提起しようとしているのでしょうか?

もし命題を提起したいというのであれば講演台にのぼってハッキリと口で伝えればいいのでは?と仰りたい気持ちはよくわかりますが、そこは達磨大師の芸風を受け継ぐ我ら禅僧。
無言、あるいはパントマイムを駆使して伝えてナンボです。

ただ、こちらの意図が受け手の皆さんに正しく伝わらず、「そうだよね、何事も自然体が一番だよね。寒ければ火にあたり、暑ければ風にあたる。腹が減ったら飯を食い、眠くなったら寝るだけだ!」などと納まり返られてしまうのであれば、達磨大師の一門はもう終わりです・・・

昔の師匠たちはそれこそ24時間、起きている時も寝ている時もずっと、悟りの本質とその伝え方について考え続けてきたのですから。

―――――つづく

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