法眼和尚の答え 5/5話(出典:碧巌録第七則「法眼答慧超」)

雪竇和尚のコメントの後半部分もなかなかシビレます。

慧超さんが法眼和尚の一言で直ちに悟り、「既に魚は登龍門を越えて龍になってしまった」というのに、「真夜中の川辺で必死に水をさらっているアホがおる」などと仰る。

登龍門とは黄河の上流、今の山西省にある龍門山にある急流のことで、今から四千年近く前に禹(う)という伝説の君主が治水のために三段に穿ったと伝えられています。

三月三日の桃の節句の時期にこの三段の急流を登り切った魚は、みるみるうちに頭に角が生え、シッポは長く伸びてしなやかにうねり、そのまま雲をつかんで飛び去るのだとか。

登り切れなかった魚はといえば、岩に頭を打ちつけてそのまま引き下がるのみ。

まるでわかっていないのに言葉尻についてアレコレ論評するのは、まさしく「真夜中の川辺で必死に水をさらう」ようなもの。

白雲和尚はかつてこう言いました。

「この一枚の丸くてピカピカのコインで、油で揚げたモチを買うことができる。
その揚げモチを食べれば、当分はお腹がへらないのだ!!」

これはとてもいいところを突いた発言なのですが、残念ながら文学的にあまり上手とは言えません。

その点、雪竇和尚は文学センス抜群のお方でしたので、刃物を使う時に自分の手を斬るようなマネはされないわけです。

私の同僚の慶蔵主(けいぞうす)は、よく人に次のような質問をしていましたっけ。

「三段の急流が激しくて、魚が龍になる。さて、こりゃいったい何の話だい?」

彼が何の話をしているのかはさておき、最後に賢明なる読者の皆さんに質問です。

魚は既に龍になってしまった。さて、その龍は今、いったいどこにいるのでしょうか?

<法眼和尚の答え 完>

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