究極の道は難しくない 2/5話(出典:碧巌録第二則「趙州至道無難」)

趙州和尚は、いつも弟子たちの前でこの「究極の道は決して難しいものではない」の話をしていました。「ただ、つまらぬ「こだわり」さえ持たなければよいのだ」、と。

実はこれは中国における三代目の仏教伝承者である僧璨(そうさん)和尚が残した「信心銘」の中の一句なのです。

原文は次の通りです。

「究極の道は決して難しいものではない。ただ、つまらぬ「こだわり」さえ持たなければよいのだ。好きとか嫌いとかを全て捨ててしまえば、実に広々として明らかなものだ。」

ただ、これを「一瞬でも良し悪しの判断が入れば「こだわり」が発生してしまうことは「明らか」だ。」という意味に理解してしまうと、真実はあっという間に彼方に遠ざかります。

そんなものに「こだわって」いたのでは、何の役にも立ちはしません。

趙州和尚は言いました。「「こだわり」が出てしまう、「明らか」というのも違う」、と。

今どきの人はこの話を聞くとすぐに「「こだわり」でなければ「明らか」でしょ?」と思ってそれ以上考えるのを止めてしまいます。

趙州和尚は「明らか」というのも違う」と言っているのに「あなたはいったい何を仰りたいのですか?」などと食い下がるのは、まさに「こだわり」そのものだということに気づかなければなりません。

とはいえ、趙州和尚がボケてみせた時にすかさずツッコむとは、この僧もなかなかのものです。

こういったシチュエーションの場合、禅の世界では師匠からいきなり殴りつけられたり大声で怒鳴りつけられたりするものなのですが、趙州和尚はそのどちらもなさらずに、ただ「いや、それはワシも知らん」と答えました。

普通、弟子からこのような攻撃的なツッコミが入ったらアタフタしてしまうところですが、趙州和尚は熟練の禅師ですので、それを軽くかわしたわけです。

この部分だけをマネして、何かツッコまれたら「私は何も知らないもんね!」などと開き直る人が時々いますが、これは言葉こそ似ていますが全く意味が違います。

―――――つづく

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