相手を理解することと身体の知

先日、2016年秋季の日本平和学会大会に参加してきた。
僕は「平和と芸術」分科会という部署で仲間と一緒に世話人をしている。今回は「平和実践としてのソーシャリー・エンゲイジド・アート ―日本平和学会2015春季大会アートパフォーマンス『黒い雨』を振り返って―」と題し、湯浅正恵さん(広島市立大学)、笠井綾さん(宮崎国際大学)が報告をした。

2015年7月に、広島市のアステール広島のホールで上演されたパフォーマンス『黒い雨』は、フランス人ダンサーのフィリップ・シェール氏が企画に関わり、広島の未認定被ばく者たちの苦労や歩みを舞台で表現したものだ。

制作過程でフィリップ氏に勧められ、急遽、笠井綾さんはダンサーとして舞台に立つことになったとのこと。広島出身の笠井さんは小中学校の平和学習で、原爆と被ばくの恐ろしさ、そして平和の大切さを学んできた。その笠井さんが、『黒い雨』のパフォーマンスに参加することで心を新たにしたことがあるという。それは、伝えることを引き受ける覚悟を持ったことだ。

「伝えていく“責任”を負うという気構えが生まれました」

健康被害に苦しみながらも、国から補償を受けることなく生きてきた未認定被ばく者の方がたの歩みや心情を、身体で表現する。そこに、彼らを引き受けるという覚悟が生まれたという。これは、身体でもって相手を理解する、いわば「身体知」の発動だと言える。

知にもいろんな知があると論じられているが、「身体知」の可能性・重要性はもっともっと認知されてよい。もちろん、○○ラーニングや○○ワークショップといった新しい学びの技法は試みられてきている。そこにもっと、相手の思いや声にならない声を聴く力への注視があればと思う。身体表現によるコール&レスポンスの射程は、我々が思う以上に長い。

コール&レスポンス!

パフォーマンス『黒い雨』clip
https://vimeo.com/159662630

パフォーマンス『黒い雨』
http://www.psaj.org/2016/09/10/平和実践としてのソーシャリー-エンゲイジド-アート-日本平和学会2015春季大会アートパフォーマンス-黒い雨-を振り返って/

パフォーマンス『黒い雨』告知ポスター
http://www.hiroshima-cu.ac.jp/event/content0404.html