偉大な発明品、紙オムツ

紙オムツのある時代で、本当によかった。
心からそう思っている自分がなんだか不思議だ。今までオムツのことなんかほとんど考えたこともなかったし、オムツをしていた頃の記憶もないけれど、それは自分に子供が生まれた瞬間に突然心のヒットチャートの上位に再登場し、記録的な長さでトップ10にとどまり続ける程の存在になった。

紙オムツは人生の始まりと、場合によっては終わりにも寄り添うとても重要なアイテムである。そういう意味では人とオムツとの蜜月は思いのほか長く、そして深い。にもかかわらず、みんなオムツについての探究心や好奇心を持つことはそれほどないようで、とても残念なことだと思う。
よってここに高らかに宣言したい。紙オムツは近代稀にみる偉大な発明品であると。

育児にまつわる作業の中でも中核を占めるオムツ替え。ただでさえ気を抜けない複数のタスクに追われまくる日常の中、もしこれに布オムツの洗濯と乾燥という手のかかる作業が加わったとしたら、ただでさえ面倒くさがりの自分は気が遠くなる、というかマジで気絶するだろう。

もちろん布はサスティナブルな素材であり、子供の発育上も良い面がたくさんあると思う。しかし、布オムツを選択しさらにそれを洗濯することが出来るのは、今の時代の日本においてはかなり生活に余裕のある養育者に限られるのではないかと思う。
そんなわけで、今回は紙オムツについての考察をし、自分が感銘を受けたことをまとめてみたい。

日本の紙オムツというのは本当に素晴らしい。何が素晴らしいかというと、まずはその機能性である。なにしろ、使い捨てなので洗って乾かす必要がない。高分子吸収材や水分を一方向からしか通さない素材のおかげで、ムレずに快適な状態のまま長時間の着用が可能であり、サイドやバックの隙間からおしっこやうんちがもれないよう、防波堤のような役割をするギャザー加工がしてある。(ちなみにこの防波堤を超えてしまうことを『決壊』『セモーレ』などと呼ぶこともある)

多くの製品には子供が喜ぶかわいいキャラクターが印刷されており、替える方もちょっと癒されたりするし、脱がせる時に簡単に外せるよう両サイドには手で楽に切れるような加工もされていて、脱がせた後はなるべく手を汚さずコンパクトにまとめられるようにテープまでついている。これは非常にありがたい。
おしっこをしているかどうか目視で確認できるように水分に反応してラインが出るお知らせ機能や、さらに寝ぼけて前後を反対につけてしまうことを考慮し、オムツの向きがわかるように印まで書いてあるのだから、これはもう素晴らしいの一言に尽きる。海外の観光客が爆買いして行くのも当然だろう。
特筆すべきはこの機能性の向こう側に、育児をする人に対する「心遣い」が感じられる点である。ユーザーの想像を超えるクオリティが感動を呼ぶ。これはエンタテインメントにも近いものがあり、僕たちミュージシャンも見習うべきだとさえ思う。

赤ちゃんの紙オムツにはおおまかなカテゴリーがあり、サイズ、形状だけでも多種多様である。新生児用、S、M、L、XL、テープタイプとパンツタイプ、そしてグレード。
各メーカーによって特徴や値段に違いはあるが、基本的な性能はどのメーカーも高水準でクリアしている。
よく「オムツ代を稼がなきゃ」などという話を聞くが、これに向き合うと俄然その言葉がリアリティーをもって迫ってくる。機能性を考えれば本当に素晴らしいコストパフォーマンスだと思う一方、1日に使うオムツの数は想像を超えたもので、自分の経験では新生児からしばらくは1日に10回は当たり前、14、5回に及ぶことも珍しくなかった。

こうなるとサイズアップした時のロット数による一枚の単価の変動がバカにならなくなってくる。そしてこればかりは「節約」が出来ないのである。赤ちゃんに、
「オムツの数を節約したいから、今回はこのくらいのおしっこにしといてね、うんちはなるべく一緒にお願い」
などというリクエストが出来るはずもない。前にも書いたが親がミュージシャンでもさすらいの用心棒でも、子供には大人の都合は関係ないのである。

そんなわけで、ネット通販や近隣の薬局やスーパーの値段、どこの店にどんなオムツが置いてあるのかにレーダーを張るようになるのだが、ベビー用品の世界は今まで経験したことのない新しい世界でなかなかに奥深いのでそのうちに書こうと思う。

紙オムツは育児に関わる労力を激減させてくれる偉大な発明品であることは冒頭に言った。しかし技術の進化にともなうリスクもある。自分たちの生活は便利になる一方で、より複雑な新しい問題に直面することになるのだ。次回は自分に起きた紙オムツにまつわる事件をファイリングしようと思う。

紙オムツよ、今日もありがとう。

(by 黒沢秀樹)

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