日本の離乳食、世界の離乳食

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日本の離乳食、世界の離乳食

前回は10倍粥から離乳食をスタートし、出汁を使うことによる養育者のちょっとした(自己)満足感とそこに注ぐ労力の良い塩梅について書いたが、離乳食の川はこの後7倍粥、5倍粥、3倍粥、半粥、軟飯、と段階を踏みながらその流れを進めることになる。
子供の反応を見ながらお粥に出汁を加え、さらにやわらかく煮た魚や野菜などの具材も加えるようになるとようやくちょっと料理をしている雰囲気になってくるわけだが、まだ大人の食事とは別々に作らなくてはいけないことを考えると、これは相当な労力である。

自分も一日中離乳食のことしか考えていなかったような時期もがあるが、どんなものを作っていたのかは全く記憶に残っていないので、育児ノートを開いてみた。パンを使ったパン粥というのも登場し、どんどんバリエーションを増やしていることがみてとれるが、今思えば自分で自分の首を締めていたような気がしないでもない。

そんなおかゆ地獄の鍋で自分が炊かれているような日々の中、ふと思ったことがあった。
なぜ米なのか?
日本ではお粥、つまりお米を最初に食べるわけだが、それは日本人の主食がコメだからであり、きっと他の国では違うはずである。

海外の離乳食とは一体どんなものなのだろうか。アメリカやイギリスではやはりパンを食べるのか、インドではいきなりスパイスがっつりのカレーだったりするのか、フランスでは離乳食にもなんとか風ソースがかかっているのか、気になって眠れなくなりそうだった(うそ)のでちょっと調べてみると、予想どおり、というか予想を超える文化の違いがあることを思い知らされた。そもそも離乳食という概念すらない国もあるのだ。

まずは馴染みの深いアメリカだが、なんと離乳食を養育者が手作りすることはほとんどなく、市販のものを買ってきて食べさせるのが一般的らしい。アレルギーに対する認識の高さや、夫婦共働きがほとんどで男女平等の意識に敏感な国の文化的な背景もあるのだろうが、これはちょっと意外だった。
郊外の裕福な家庭などではスプリンクラーがついた芝生の庭でおばあちゃんから伝わったレシピをもとにしたなんとか豆のスープとかを食べているのかと思いきや(そんなわけない)、ほとんど手作りをしないというのは全く想像外であった。

マンマのパスタが世界で一番おいしい、とほぼ全員が思っているらしいイタリア(勝手な憶測です)では、なんと離乳食からオリーブオイルとパルメザンチーズが必須らしい。子供用の小麦粉やパスタ、野菜をペースト状にしたものなどがあるそうだが、とにかく味付けはオリーブオイルとパルメザンがベースで、トマトなどはかなり後期に食べさせるらしい。そしてやはり、市販のベビーフードがかなり充実しており、お母さんたちはそれを持って子連れで外食にもどんどん行くらしい。日本とは大違いである。

そしてインド。インドといっても人口も多く地域もかなり広範に渡り、日本の常識を軽々と超えてゆく風習や文化がある国だけに、とても気になった。なにしろ観光地では象さんがタクシーになっていたりする国である。いったいどんな離乳食を食べているのだろうかと思ったが、スタートはやはりお米や豆などを茹でてペースト状にしたものからスタートするらしい。
しかし間髪入れずその後スパイスが登場、ターメリックやクミンなどの刺激の少ないものから慣らして行き、2歳くらいになると本格的なカレーを普通に食べていたりするらしい。もちろんその土地の気候や体質なども大きく関係しているのだとは思うが、ターメリックという単語を知ったのさえ大人になってからの自分にとっては、やはり想像を超えた離乳食である。

そして美食の国フランスでは、そもそも離乳食という概念がなく「食の多様化」と呼んでいるらしい。その時点でちょっとエスプリを感じさせやがるが(うらやましいだけ)、まずは単品の野菜や果物など、なんでもフードプロセッサーでペーストにしてそのまま食べさせるだけらしい。(簡単じゃねえか)
まずは素材そのものの味を知り、それから組み合わせで味覚を育んで行くという点では日本と共通の部分も感じられるが、1歳頃までは日本のようにお粥の硬さを調整するような細かいことはほとんどせず、ただペーストにして食べさせるだけで、あまり凝ったことはしないらしい。
しかし子供の食事にも前菜、メイン、デザートという流れが存在し、それぞれのジャンルの市販品も相当充実しているらしい。合理的だけれどこだわりはある、というのがさすが美食の国である。

様々な国の離乳食を調べてみて感じたこと、それは離乳食には正解などない、ということである。
クリスマスにはケーキを食べ、お正月には神社やお寺にお参りに行き、ハロウィンでは仮装して楽しむという世界の風習いいとこ取りが出来る日本人であるならば、離乳食にも各国の文化の良いところをもっと柔軟に取り入れてもいいような気もする。
早速息子の好きなちくわをクミン風味のオリーブオイルで炒めてパルメザンチーズをかけるという謎のレシピが頭に浮かんだりしたが、絶叫して投げられると困るのでもう少し考えてみようと思う。

(by 黒沢秀樹)

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