様々な「ねんない」:黒沢秀樹の育児ノート

■編集部より:久々の黒沢秀樹さんのライブ、町田のまほろ座で、いよいよ来週8月23日(日)です。オンライン参加もできます。詳細はこちらで!
https://tiget.net/events/98144

黒沢秀樹ライブ告知

先週は息子が発する「ねんない」という言葉の意味が何なのかについての読者のみなさんからの意見を募集したところ、様々な角度から貴重な意見と解釈をいただいた。
「ねんない」に何があるのか?乳幼児の発語のふしぎ

最も多く一般的な解釈としては、


「ないない」では?
アンパンマンに飽きたから、ないない。
カボチャが大きすぎるから、ないない。


ないない(お片付けしようの催促を大人が子どもに向けて使う幼児語)
ではないでしょうか?


のような意見だが、どうも今ひとつしっくりこない。何かの容器に期待していたものが入っていなかった場合や、おやつを完食した場合などは「なーい」と言うので、「ない」という言葉の意味は理解していると思われるからだ。

投げると危険なミニカーなどを手にして行為に及ぼうとした場合などは、手をとって「ないないするよ」と言うとその意味を理解し、それでも実行した場合は手の届かない場所に取り上げられることも知っている。(←結局投げてる)
「ないない」と「ねんない」はかなりニュアンスが違うのである。


難しいですが、『ねんない』→『みんない』→『みない』→『見ない?(見て)』なのかなぁと空想してみました。子どもってよく、『ない』を反対の意味に使ったりするかなぁと。アンパンマンを『一緒に見ない?』
かぼちゃ を持ち上げて『見て』って意味では。


なるほど、これは少し可能性があると思ったけれど、今のところ「ねんない?」のように何かを要求したりする雰囲気ではないのである。息子はまだ「〜しない?」のような誘いの意味で言葉は使わず、ストレートに欲しいものを要求する。

今日も夕飯に小食のOLくらいの量の冷やしうどんを食べていた息子だが、さらに自分がつまんでいたバゲットを「パンっ!」と言って奪われた。おいしいパンが食べたかったので出先にあった高級店で少々奮発して買ったものだったが、どうやらそういうものにはかなり敏感らしい。
何もつけていないバケットをちぎって口に入れ、もぐもぐしたかと思うと、真っ直ぐに目を見据えて「たーり」(おかわり)と何度も言うのだが、まだアンパンマンに夢中な状態であるにもかかわらずバゲットの味の違いを見極められるのには今ひとつ納得がいかない。


我が家の例のように、子音が違って母音が合っているならば、
◯ん◯い
に当てはまる言葉で、大きなカボチャが持てたことをお父さんにうったえているわけなので、てんさい はどうでしょう?ぼく、すごい?ぼく、てんさい?!


これはついネガティブな意味ばかりを考えてしまう自分にとっては嬉しい解釈でもある。「天才」と2歳にして自分で思うのは行き過ぎた自己肯定感かもしれないが、過度な自己否定感を持たれるよりは余程ありがたいことである。しかし数々の天才を身近に見てきた自分にとっては、出来たらそこそこであって欲しいとは思う。天才はいろいろ大変な事が多いのである。


もしかして関西弁の「おもんない」(おもしろくない)を言おうとしてるのでは…?とほんの少し思いました。


なるほど、「おもんない」と言う意味は確かに当たっているかもしれない。何かの状況を説明しているような雰囲気がある事は確かだからである。かぼちゃを持ち上げてみたものの、そんなに面白くなかったのかもしれない。ただ養育者として思う事はある。なんで関西弁やねん。


かなり無理はありますがベン・E・キングの「Stand by me」の最初の「When the night」(ザはあえて発音せず)がなんとなく「ねんない」に聞こえませんか?この曲(ジョン・レノンでも可)よく聴いてたとか(笑)やっぱり無理か。


これはまるで想像もつかなかった解釈である。ベン・E・キングの名曲をもし耳にして真似をしているとしたら、と思うとちょっと嬉しい気もするけれど、まだきちんと聴かせた記憶はない。しかし「〜ない」を「night」と言う意味で言っているとすれば、思い当たる節がなくもない。
先日寝かしつけの際、しばし一緒に横になって眠りにつく瞬間、耳元でそっと「ねんない…」と囁かれたことがあったからだ。何かの呪文かとさえ思ったが、「good night」のような意味である可能性は否定出来ない。

そんなわけで、様々な角度からの解釈を寄せていただいて息子の謎の発語「ねんない」についてとても楽しく考えることが出来た。こんなことにわざわざ時間を割いてくれたみなさんに心から感謝したいと思う。

ちなみにもう一つ、「しゃーでー」と言う言葉を最近よく言うので、これも謎だった。
ボールを持って遊ぶ時などによく言うのだが、一体何を意味しているのかよくわらなかった。
シャーデーといえば自分にとっては1980年代に一世を風靡したイギリスの女性ボーカルバンドであり、思わず脳内で「smooth operator」と言うクールで洗練された曲が流れ始めたが、そんな事があるはずがない。
この謎は近所のママ友に、それはたぶん「そーれー!って言ってるんだよ」と言われてあっさり解明してしまった。
子供の発語はいろんな事を想像させてくれるが、それは自分の頭の固さと柔らかさを同時に実感することにもなる。これからますます謎は増えていくと思うが、それも楽しんでいきたいと思っている。

(by 黒沢秀樹)


■連載のご感想、黒沢さんへの応援メッセージなど何でもお寄せください。
コメントフォーム