続・子どものおもちゃ今昔

先週は子どものおもちゃで家が埋め尽くされないための指針を決めることについて書いたが、どういうわけか早速また新しいおもちゃを買ってしまった。そんなわけで子どもの遊びとおもちゃの続編である。

買ってしまったのは定番中の定番、水鉄砲である。自分も子どもの頃に遊んだ記憶があるが、大人になってからというもの、すっかりその存在を忘れていた。
散歩の途中で吸い込まれて行った子ども向けのおもちゃやお菓子が売っているお店で、「これー」と言って息子が手に取ったのは、プラスチックで出来た懐かしい形の水鉄砲だった。
250円。昨今のおもちゃ事情を考えると破格の安さだが、自分の子供の頃はきっと100円くらいだったのではないだろうか。

キャップを取って水を入れて、引き金を引くと水が飛び出すという構造は変わっていないと思うが、昔と比べたらその部品の精度は格段に上がっているような気もする。ピューっと飛び出す水を思うと懐かしい気持ちが甦ってきた。
もし子どもがいなかったら、きっと水鉄砲との再会もなかっただろう。そんなことを思っていると息子が近寄ってきて、まだ水の入っていない水鉄砲を「ジッパー!」と叫びながら振り回している。
「うわ、やられたー」などとリアクションをするととても楽しそうだ。以前も書いたが、子どもと一緒にもう一度幼少期を再体験出来ることは養育者の特権である。

なぜか息子は水鉄砲のことを「ジッパー」と呼んでいるがその語源はわからない。「バンバン」や「バキューン」が自分の子どもの頃は定番だったが、もしかすると時代の変遷とともにピストルの音も変わっているのかもしれないと思い調べてみるも、どうやらそんなことはないようなので息子のオリジナルである可能性が高い。ともあれ、我が家では水鉄砲のことを「ジッパー」と呼ぶことになった。
夏場ならまだしも、寒い冬の時期になぜとも思ったが、この水鉄砲は思いもよらぬ効果を上げることになった。嫌がっていたお風呂に進んで入るようになったのだ。当然だが、冬場に水鉄砲で遊べるのはお風呂場くらいである。
お気に入りのアニメを見ている途中でさえ、「お風呂でジッパーする?」と聞くと前のめりで走って行き、服を脱ぐときに「待ってて」と声をかけることさえする。今までそんなことを一言も言ったことがなかったにもかかわらずである。

お店のおばさんは「不思議よねえ、やっぱり男の子は、お人形さんとかじゃないのよねえ」と言っていたが、その言葉がなぜかずっと頭に残っていた。
まだ言葉もそんなに話せないのに、性別で選ぶおもちゃが違うというのは、きっと環境などの外的要因によるものではないのだろう。どうして男の子はこういうおもちゃが好きなのだろうか。そもそも鉄砲というのは戦うための武器である。例えおもちゃだとしても、そんなものを子どもに渡していいものだろうかという思いが頭をよぎった。
戦隊ものやロボットにはあまり興味がなかった自分でさえ、確かに水鉄砲は楽しかったしチャンバラごっこなども多少はした記憶もある。これは猫がおもちゃで遊ぶ時に物陰に隠れて狙いを定めてジャンプするような「習性」のようなものかもしれない。
男の子は強く元気に、女の子はおしとやかに、というような大雑把な考え方はもはや通用しなくなってきている時代だが、この習性をポジティブに受け止めていくことが大切なのではないかと思う。

そして怪獣や恐竜にもただならぬ興味を持ち始めたタイミングで、このサイトのオーナー、風木一人さんから一冊の絵本が送られてきた。風木さんの作品、「あるひそらからさんかくが」という絵本である。三角、四角、丸という図形をもとにした怪獣、「サンガジラ」「シカクドン」「マルルーン」という怪獣が登場するのだが、この絵本が見事なタイミングでハマり、この数日お風呂上がりに2回ずつ読まされている。どっしんどっしんと足を踏み鳴らし、「がおー!」と言って襲いかかってくるのだが、息子は特に「マルルーン」がお気に入りである。

絵本「あるひそらからさんかくが」

風木一人・文 中辻悦子・絵 福音館書店

そして正直に告白すると、ミニカーを基本ラインに据える決意をしたはずが、さらに新しいブロックを買ってしまった。ミニカー、水鉄砲、絵本、ブロック。この先が思いやられる展開だが、このところ急激に興味を示しはじめ、どんどん形を組み合わせて作り出しているのを見て、これは今必要なおもちゃだと確信したからである。自己申告してもらわないとまだわからないが、クレーン車やお花や大根や線路らしきものを作っている。
そしてやはり怪獣である。ブロックは主に四角いパーツで構成されているのだが、息子は怪獣に見立てた作品を「まるるーんっ!」と呼んでいる。それは丸じゃなくて四角だから「しかくどん」じゃないの?とは言えないでいるが、子どものおもちゃ問題はまだまだ続きそうである。

(by 黒沢秀樹)

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