猫のムギ、二十歳のお誕生日おめでとう!
うちの愛猫ムギが20歳になった。猫の20歳は人間の100歳とも言われるから相当な長生きで、それだけでもうれしいのだが、さらに特別うれしい理由がぼくにはある。
ムギは3年前の検査で慢性腎臓病(腎不全)と診断された。高齢猫にはとても多い病気だが、当時は詳しいことは知らなかった。
17歳でもまだまだ元気と思っていたから、動物病院の先生から「慢性腎臓病は治らない。治療方針はこれ以上悪くならないようにすることです」と言われてショックだった。
その日もらった猫の腎臓病に関する小冊子でさらにショックなものを見つけてしまった。
腎臓病の猫の余命のグラフだ。
経過日数を横軸に、生存率を縦軸にして、適切な治療をした場合としなかった場合を対比し、治療すれば効果があることを伝えているものなのだが、日がたつにつれグラフの線はだんだん下がり、治療をした場合でも1000日後には横軸にくっついていた。
生存率ゼロ。
それを目にしたときのことは忘れられない。全身の血が音をたてて流れ出すようだった。
一番長くても1000日しかムギと一緒にいられないの?
1000日は2年9ヶ月ほどである。
ムギが20歳になった今月は、ちょうどあの日から1000日をはっきり越えた月でもあるのだ。
だから二十歳の誕生日がさらに特別にうれしい。
あのグラフは絶対ではなかったのだ。
慢性腎臓病を抱えて1000日以上生きる猫は少ないけれど、いないわけではないのだ!
猫の慢性腎臓病はどういう病気か?
猫の慢性腎不全についてざっくり書いておきたい。ぼくはムギがなってから勉強しただけで専門家ではないからくわしいことは獣医さんのページなどで見てほしい。
猫はヒトや犬など他の哺乳類とくらべても腎臓病になりやすく、それがなぜかは完全にはわかっていないらしい。とにかく高齢猫の死因の一番は腎臓病だと考えられている。
腎臓はいくつかの役割を果たしているが、中でも重要なのが尿を作ることで、これは血液中の老廃物や毒素を排出することだ。
腎臓はネフロンという極小の組織の集合体で、ネフロンが尿を作る仕事をしている。このネフロンが壊れて機能を失っていくのが猫の腎臓病だ。
ネフロンがある程度以上壊れると、残りのネフロンは過重労働となり、さらに壊れてしまう悪循環におちいる。血中の老廃物や毒素をじゅうぶん排出できなくなり、食欲不振や嘔吐、体重減少などが起こり、さらに進むと猫は死んでしまう。
とても残念なことに、壊れたネフロンを再生させる手段は現在はなく、慢性腎臓病の完治はのぞめない。だから、残ったネフロンを大事にしてこれ以上減らさないようにするのが治療方針となる。
基本は食事療法と投薬だ。
ムギの場合も、獣医の先生の指導でこれを行なった。
次回はまず食事療法のことをくわしく書きたい。

ムギ、20歳おめでとう!

今日も元気でご飯が美味いにゃ♪
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