猫の慢性腎臓病:早期発見には定期健診

定期健診は大事!猫の腎臓病は静かに進行する。

猫の慢性腎不全には食事療法と薬がなにより大事だが、ある意味それ以上に大事なのが猫の健康状態を知ることで、そのために絶対必要なのが検査だ。
猫の腎臓病は静かに進行する病気で、表立った症状が出るときにはすでに腎臓機能の50~75%が失われているそうだ。

ムギもそうだった。わりと健康で大きな病気をしたことがなかったので定期健診はしていなかった。10歳を越えたころから定期健診をしていればもっと早く腎臓病の兆候を発見できていたかもしれない。
他の体調不良で動物病院に行ったとき、尿検査をして、その後血液検査もして、腎臓病が発覚した。

尿素窒素(BUN)、クレアチニン、IDEXX SDMA、腎臓に関わる数値がいずれも正常値を上回っていた。

獣医の先生から「腎臓機能の75%以上が失われ、これはもう治らない」と説明を受けた。「でも適切な治療をすれば長生きできる猫もいる」とも聞いた。

前回前々回 書いたように、食事療法と投薬が始まった。

3ヵ月後の検査では明らかに数値は良くなった。尿素窒素(BUN)、クレアチニンは正常範囲となり、IDEXX SDMAは上限を超えてはいるが前回よりは下がった。妻と手をとりあうようにして喜んだものだ。

その後は半年に一度の血液検査を続けている。腎臓の状態を反映する3項目は一進一退、いくらか「退」が多いような気はするが、20歳ということを考えればムギは本当にがんばってくれていると思う。

3項目以外にも回によってカルシウムが多かったり、カリウムが多かったり、グルコースが多かったりするけれど、年齢を考えればしかたないし(人間だって中年期以降はいろいろあるものだろう)、先生にも安定していると言ってもらっている。

とにかく猫の腎臓病は症状が出るのが遅く、早期発見するには定期健診しかない。早期発見して療法食に切り替えれば腎臓病の進行をかなりの程度止められる。年に一度、あるいは半年に一度の定期健診はぜひ行った方がいいと思う。

ムギ専用豪華客船「飛鳥2」

とはいえ、健診の中でも重要な、血液検査のための採血は簡単ではない。それはそうだ。注射が好きな猫はふつういないだろう。

日ごろ寝てばかりのムギも、こんなに元気が残っていたのかと驚くくらい叫んで暴れる。
噛まないようにエリザベスカラーをして、両前足と片一方の後ろ足を巻き込むようにバスタオルで簀巻きにして、妻とぼくがおさえ、先生が採血する。

はずみでムギが怪我しないか心配になるが、先生によると「これくらいかわいいもの」だそうだ。
かわいそうだが、半年に一度だけだから我慢してもらわなければならない。

完全に室内飼いの猫だから病院に行くこと自体もストレスだと思う。それもあって歩いて10分の近い獣医さんにずっとかかっている。

うちでは動物病院に行くことを、ムギ専用豪華客船「飛鳥2」でハワイに行く、と称している。
猫用キャリーケースが飛鳥2だ(笑)。

ムギ専用豪華客船飛鳥2 出航準備中

ムギ専用豪華客船飛鳥2 出航準備中

「ハワイ行くよ」「ボッ、ボーッ、飛鳥2出航します。お乗りの方はお早めにご乗船ください」と言ってもまあ乗らないので、つかまえてさっと押し込む。

行きの道では不安そうににゃあにゃあ鳴く。

病院につき、ひと暴れののち採血がすむと、今度はムギは大急ぎで自分から飛鳥2に乗船する。「帰るにゃ、帰るにゃ!」

帰りは疲れたのか、終わって安心したのか、静かにしている。

軽い。

小柄なメス猫だが、最盛期は体重4.2キロあった。若干肥満で、先生は「まあ、貯金と思いましょう」と言っていた。高齢になるとだんだん痩せていってしまうからだ。
17歳で腎臓病が見つかったとき、3.3キロくらいだったと思う。それから3キロを切り、2.6キロまでいって、だいたい下げ止まった。
高齢で減った猫の体重はなかなか戻らないらしい。食が細くなっているからだろう。

動物病院まで10分の道のり、体重4キロのときは左右の腕で頻繁に持ちかえたが、2.6キロの今はほんの数回持ちかえるだけだ。

ムギ、もうちょっと重くなってもいいんだよ?

20歳の猫ムギ。後ろ姿。かわいい。

後頭部の黒い部分を「のり」と呼んでいる。おにぎりの海苔。

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