二十歳の猫、ムギ、長生きの理由?

長生きの理由は性格?

ムギは今年の6月に20歳になった。猫の平均寿命は15歳と言われているからずいぶん長生きだ。
たぶん生まれつき丈夫なのだと思う。丈夫といっても見るからに頑健なタイプではまったくない。小さなめす猫で、強そうか弱そうかといえば弱そう。
ただ、ひとつ、これが長生きの理由かな?と思っていることがあって、それはムギの性格だ。おおらかなのである。小さなことは気にしない。大きなこともあまり気にしない。
人間だって神経質でぴりぴりしている人より、鈍感と言われるくらいのん気な人のほうが長生きするものだろう(偏見?)。

とにかくムギは細かいことを気にしない。
まず知らない人を怖がらない。ぼくはムギが10歳のときにはじめて会ったが(ムギは妻の連れ子である)、初対面から逃げたり隠れたりはしなかった。誰だこいつ?みたいな顔はしていたし、猫パンチもいただいたが、なでることはできた。数回会うともう遊べるようになった。
家族にしか気を許さず、お客さんが来ると何時間でも隠れてしまう猫もいることを思えば驚くべきフレンドリーさである。
ぼくだけ特に気に入られたわけではなく、宅配便の人が来ても、隠れるどころか、わざわざ出てくる。
「誰にゃ? 誰が来たのにゃ?」
この性格は生まれつきだろうか。
あるいは子猫のときに妻の元へ来て、それ以来一度も誰かにイジワルされた経験がないから疑うことを知らないのかもしれない。

地震や雷もほとんど怖がらない。去年観測史上最大の台風で庭の桃の木が根こそぎ倒れたときも平常心だった。猫は犬とくらべれば雷を怖がらないものだそうだが、それにしても驚くほどガン無視である。肝っ玉がすわっているのか、鈍感なのか。
数度引越も経験している。引越した当初は落ち着かなかったり食欲がなかったりしても、ほどなく新しい環境になじむ。順応性が高いのだ。

興味を持つ食べ物の幅が広い

猫にとってこの世で最も重大なことと思われるごはんに関しても、ムギのおおらかさは発揮される。この銘柄しか食べない、みたいなこだわりがなく、わりと何でも食べる。
今は慢性腎不全なので、基本的には療法食しか食べさせないし、量もまったく少ないが、以前はずいぶんいろんなものを食べてきた。

猫の健康には猫用のフードがいちばんだから基本的にはずっと市販のキャットフードが主食だったが、どこのおうちでもあるように人間のごはんに興味を示すこともあり、味の濃いものでなければちょっとだけあげたりはした。
そういうとお刺身とかお肉と思われるかもしれないが、ムギの好みはちょっと違った。意外なものをほしがった。キャベツ、春菊、マッシュルーム。野菜に興味を示した。マッシュルームをオーブントースターで焼いていると匂いにひかれて近づきすぎ、ひげが危うくチリチリになるところだった。
ヨーグルトも妙に好きだった。食卓の上には手を出さない分別があったのに、ぼくらがヨーグルトを食べているときだけは妻のひざにのりさらに食卓へと手を伸ばしてなめたがった。

あと花。花びらだ。花は猫に悪そうなのであげたことはないが、何度か上らないはずの場所に上ったり、入らないはずの部屋に入ったりしてむしゃむしゃ花びらを食べてしまった。花の種類はそれぞれ違ったと思う。美味しいとは思えないがどうなんだろう? ほかにも花を食べたがる猫はいるんだろうか? さいわい具合が悪くなったりはしなかった。

ゲテモノ喰いというか、興味を持つ食べ物の幅が広いのだ。これはひょっとしたら、療法食も嫌がらず食べてくれるのと関係しているかもしれない。子猫のころから完全に決まったものしか食べていないと、たとえば病気になってどうしても食べ物を変えなければいけなくなったとき困るだろう。

病院に行くとか、ツメを切るとか、お薬を飲むとか、必要だけれど猫が嫌がることはいろいろあって、それらはみんなストレスには違いない。それでもムギの場合はおおらかな性格のおかげでずいぶん救われている気がする。
これからも小さなことは気にせず、のん気に長生きしてほしい。

(by 風木一人)

20歳の猫のニャンモナイト

いわゆるニャンモナイト

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