高齢猫の食欲増進のためにできること。フード選びと与え方の工夫。

慢性腎臓病の猫の食欲増進のために

うちの猫ムギはもうすぐ21歳になる。高齢の猫や腎臓病の猫と暮らしている人に共通の悩みだと思うが、とにかく食べない。いやになるほど小食である。ムギに一粒でも多くのカリカリを食べさせるのがいまのぼくの最大の使命といってもいい。

ムギは2017年夏の慢性腎臓病発覚以来、基本的に慢性腎臓病用療法食のドライフード(いわゆるカリカリ)を食べている。この1年ほどはキドニーキープとロイヤルカナン腎臓サポートを交互に食べていたが、最近ロイヤルカナン腎臓サポートだけにしてみた。
キドニーキープの食いつきが悪くなったからだ。ここにも書いたが(キドニーキープの匂いが変わった?)、以前より香りが弱くなったと思う。メーカーが日清ペットフードからペットラインに変わったことと関係あるのかはわからないが、何袋か連続して香りが弱く食いつきも悪いのでひとまず外してみた。

ロイヤルカナン腎臓サポート 猫用療法食

普通の・スペシャル・セレクションと3種類ある。どれもムギに食べさせてきたが今はセレクションのみ

ロイヤルカナンは小皿で少量ずつ与えている。平均して一日に5回くらい。500g袋を食べきるのに20日以上かかる。これはムギの体重が少ないこと(2.3kg)を考えても明らかに少ない。
他にはCIAOちゅーるをちょっぴり食べる。これは腎臓病の薬ラプロスを飲ませるためだ。ラプロスは錠剤だが、ムギに錠剤を飲ませるのは困難なので動物病院で粉末にしてもらい、それをちゅーるに混ぜてあげている。

CIAOちゅーるの種類はこれ。「腎臓の健康維持に配慮 とりささみ 海鮮ミックス味」「腎臓の健康維持に配慮 まぐろ 海鮮ミックス味」

 

最近は療法食以外にもこのような「腎臓の健康維持に配慮」をうたったフードやおやつが多く販売されている。
朝晩2回、ちゅーる1本(14g)の4分の1に粉末のラプロスを混ぜて出す。ほんのちょっぴりだ。できれば療法食以外は食べさせたくないので最低限の量で与えている。

もう一つ、あまりにも食欲がないとき、ロイヤルカナン腎臓サポートを一日に2皿以下しか食べてくれないようなときにはペーストタイプの「健康缶」を出す。これはずいぶん美味しいようで、療法食には見向きもしないときでもよく食べる。

「缶」と名前がついているけれどパウチで、数種類ある中から「エイジングケア」をムギにあげている。これも「腎臓の健康維持に配慮」をうたった製品だ。
どう配慮しているのかなあと読んでみると、ちゅーるも健康缶も「リンとナトリウムを調整」している。この2成分の調整(通常フードより減らすこと)は慢性腎臓病を進行させないために大事なことだ。
しかしたんぱく質に関してはとくに何も書いていない。腎臓病の療法食はいろんなメーカーから多種類出ているが、いずれもリンとナトリウムだけでなく、たんぱく質も制限している。たんぱく質を多くとると腎臓に負担がかかるからだ。
想像だが、たんぱく質まで減らすと嗜好性が犠牲になる、つまり美味しくできないのではないだろうか。動物用医薬品である療法食は味より治療効果を優先しているが、動物用食品は動物が喜んで食べてくれることを優先しているということだ。
そこが腎臓にやさしいと言いながらも療法食ではないものの限界なのだろうけれど、腎臓にまるで配慮していないものよりはいいだろうと思って選んでいる。
今お世話になっている獣医の先生は何も食べられないでやせ細るよりは何でも食べられるものを食べた方がいいという方針なので、本当に食べないときは健康缶に頼ることにしている。ロイヤルカナン1皿プラス健康缶1袋のようにだ。

小さな工夫を積み重ねて体重を維持

食欲増進のためには何を食べさせるかがいちばん重要だが、食べさせ方にもいろいろ工夫の余地がある。先生からアドバイスを受けたことやネットで見つけたアイディアなどはたいがい試してみた。その中で効果があったものを書いてみよう。

1、タイミングを逃さない
これは案外大事だ。とにかく欲しそうにしたらすぐあげる。老猫の食欲はカゲロウのようにはかない。待たせるとすぐ消えてしまう。
欲しそうかなんてわかるの?と思われるかもしれないが簡単にわかる。ごはんとトイレ以外はたいてい寝ているからだ(笑)。のっそり起きてきたら「あ、おなか減ったのかな?」とわかるから仕事中でも何でも中断してフードを出す。
ドライフードだし、いつでも食べられるよう出しっぱなしにできれば楽なのだが、時間が経てば経つほど食いつきが悪くなるから少量ずつ出すしかない。

2、テーブル一回り作戦
上に書いたように同じフードでも時間が経つと食いつきが悪くなる。お皿まで行って、くんくんとかいで、そっぽ向いたりする。食べたい気持ちはあるはずなのに「これじゃない」という感じだ。
そんなときテーブル一回り作戦を発動する。そっぽ向かれたお皿を取り上げ、そのままゆっくりダイニングのテーブルを一回りする。そして「ほーら、新しいごはんだよー」と満面の笑顔で出すと「これにゃ」と食べたりする(笑)。老猫の食欲は気分次第でもあるのだ。

3、レンジでチン作戦
猫の食欲は匂いにすごく影響されるらしい。味より匂いが重要なほどらしい。だから腎臓病用療法食はだいたい猫が好む匂いをつけてある。それをさらに魅力的にするのがレンジでチン作戦だ。
レンジで10秒ほど温めて出すと香りが立ってよく食べてくれる。ムギの場合ははっきり効果がある。
ドライフードはレンジでは温まりが悪いから数滴水を足してもいい。ドライヤーで温める手もあるが、強風だと吹き飛んでしまうから微風で。

4、かつおぶし作戦
せっかくフードにいい香りがついていても開封して時間が経つと薄れてしまう。キドニーキープ500g袋はしっかりしたジッパーがついているが、ロイヤルカナン500g袋はジッパーがついていない。密封できないから香りが飛びやすく、だんだん食べなくなる。
そこでかつおぶし作戦だ。かつおぶしは食べさせないで匂いだけをフードにつける。
うちではお茶っ葉を入れるための小ぶりなパック(かつおぶしは通さないが空気は通す)にかつおぶしを詰め込んで、タッパーの下に敷き、フードを入れ、上にもう一つかつおぶしパックを載せる。フードをかつおぶしパックでサンドするわけだ。これでかつおぶしの匂いがしっかりフードにうつる。タッパーにまとまった量を移すときしか500g袋を開けないから匂い飛びや酸化を最小限にできる。
今はやっていないけれど、かつおぶしパックを500g袋の方に入れてみたこともあり、これも有効だったように思う。

ムギはまったく元気だったころは4.2kgあって(健康体重だったかはわからない。やや肥満だったかも)、慢性腎臓病罹患後だんだんと痩せてしまった。
これまでの最低体重は2.3kgで、ここが現在の防衛ラインである。はじめて2.3kgを記録したのは去年の11月だからなんとか半年以上はそこを守っていることになる。

「高齢猫 食欲不振」などで検索すると同じ悩みを持つ猫飼いさんがたくさんいるのがわかる。もっともっと厳しい戦いをされている方も多い。強制給餌や栄養点滴の話も出てくる。
ムギが健康缶なども食べてくれなくなったらどうしたらいいのか、正直わからない。
まあ今は一日でも長くムギが自分で食べてくれるようにできることをぜんぶやるしかない。

長寿猫ムギ。もうすぐ21歳。もっとごはん食べようね。

音楽聴くにゃ。ロックンロール。

(by 風木一人)

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