むくみはアムロジピンの副作用か? 貧血治療にネスプ皮下注射を試みる

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むくみはアムロジピンの副作用か?

「猫は慢性腎臓病による高血圧で失明に至ることもある」のつづき。

食べる量が減ったのに体重が減らないのはやはり健康なことではなかった。
減らないどころか若干増えてきた。そして、むくみが出た。
少し前に左右の前脚の太さが違うことがあって、皮下輸液が充分吸収されず残っているのかもしれないから夜の輸液を休んだことがあった。毎日、朝100ml、夜50mlしていたのを、夜は様子を見つつ、1日おきくらいにしたのだ。
それが前兆だったのかもしれない。脚だけでなくおなかなども明らかにたぷついてきたので、いつもの動物病院へ行った。

やはりむくみが出ていて、原因は2つ考えられるとのことだった。
ひとつはアムロジピンの副作用。ムギの目が一度見えなくなって、腎性の高血圧が原因だから降圧剤アムロジピンを1日1回飲むようになった。たぶんそのおかげでムギはまた見えるようになったが、アムロジピンは毛細血管の収縮を抑える薬なのでむくみを起こすことがある。
もうひとつは慢性腎臓病末期の症状として皮下輸液を吸収できなくなった可能性。腎臓は体内の水分量をほどよく保つ機能を持っているから、いよいよ腎臓が働かなくなってくるとそれが失われる。余分な水分を排出することができなくなる。腎臓病の合併症である貧血や心臓機能の低下もむくみにつながる。

先生は「まずアムロジピンをやめましょう」と言った。今の状態では(吸収できていないから)輸液をできない。でも弱った腎臓機能を補うためにはぜひ輸液をしたい。アムロジピンをやめてむくみが引いてくれれば輸液を再開できる。
もしアムロジピンをやめてもむくみが引かなかったら、腎臓機能がいよいよのところまで失われたということで、申し訳ないけれどできることはあまりない。そういう話だった。
むくみそのものへの対処療法は利尿薬となるが、利尿薬は脱水症状を悪化させるので使えない。

じわじわと否応なく理解した。最後はこんなのばっかりだ。あちらを立てればこちらが立たない。高血圧で網膜が損傷する。高血圧を防げばむくみが出る。むくみ解消に利尿剤を使えば脱水が進む。獣医さんも打つ手がない状態になる。人間の最後だって同じだろう。

アムロジピンをやめたらまた目が見えなくなる可能性はある。それでもまずはむくみ解消を優先し、それができたら次のこと、高血圧の対応や輸液の適正量を考えるしかないようだった。

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貧血治療にネスプ(有効成分ダルベポエチン)皮下注射

血液検査もした。3か月ぶりだった。先生もぼくらもそう頻繁にしても意味がないと考えていた。

血中尿素窒素(BUN)119.2 ほぼ変わらず
クレアチニン(CRE)8.18  悪化
リン(P)11.6       大幅悪化

リンは慢性腎臓病で上がりやすい項目だが、ムギはじつに長いこと正常値で、この5月に初めて基準値をオーバーした。それが腎臓病でありながら長生きできた原因の一つだと思う。でもさすがに最後はこの数値だった。

血液の濃度(PCV)15.0

これは相当ひどい数値で、重度の貧血を表している。先生は「自分で歩けているのが奇跡に近い」と言った。
貧血には一応治療法がある。以前にも書いたことがある造血ホルモン「エリスロポエチン」の皮下注射だ。そのときは週3回もの注射はムギのストレスを考えると無理と判断したが、このひどい貧血をなんとかしてあげたくて、先生にお願いした。

使用するのは、厳密にはエリスロポエチン類似物質のダルべポエチン(商品名:ネスプ)で、エリスロポエチンより半減期が長いため週1回でもいいと言われそうしてもらうことにした。
週1回ずつ注射し、造血ホルモンが働いてPCVが上がってくるのを待つ。すぐ結果が出るものではなく2、3週間はかかるという。

2、3週間ムギがもつのかはわからなかった。でも賭けるしかなかった。むくみの主原因がアムロジピンであり、投薬を断つことによりすみやかにむくみが引き、輸液を増やすことができ、食欲も少しは戻る。すべてうまくいったときのシナリオを想定して、3週間後、貧血が緩和されムギの身体が楽になることを期待する。
このころはもう「一日でも長く生きてほしい」より「残された日をなるべく苦痛なく過ごしてほしい」が上回っていた。最後に貧血の苦しさを減らしてやりたかった。

この日は8月24日、ムギが亡くなる4日前である。いま思えばもう積極的治療をする段階ではなく、うちでそっと休ませるべきだったのだろう。しかしそのときはわからなかった。ムギはまだ自分で歩いていた。もう一度回復するかもという夢を捨てきれなかった。

(by 風木一人)

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