観蔵院ペット霊園ニルバーナで愛猫を見送る

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夏が大好きだったムギは猛暑の日に空へ帰っていった

8月30日はこの夏最後の猛暑で練馬は34度に達した。夏大好きだったムギを見送るにはぴったりの陽気だった。
11時40分にタクシーを予約していた。しかしペット霊園から「お迎えに行けることになった」と電話が入ったのでタクシーはキャンセルした。
定刻12時ちょっと過ぎに観蔵院に着いた。人間のためのお寺と霊園のとなりにペット霊園ニルバーナがあった。花で飾られた日当たりのよい場所だった。

観蔵院ペット霊園ニルバーナ 入口

「ニルバーナ」はサンスクリット語で「涅槃」、悟りの境地をあらわす言葉

観蔵院ペット霊園ニルバーナ

お世話になるスタッフの方は男女おふたりだった。
ムギを預けて待合室に入り、妻が「葬儀申込書」に記入した。死亡事由欄に「病気・老衰・事故・その他」とあり、ぼくは腎臓病はあったけれど21歳だから老衰かなと思ったが、妻は病気と老衰の両方に〇をつけていた。
しばらくして準備ができた旨を告げられ、となりのお別れする部屋へと移動した。

ムギは持参したタオルの上で寝ていた。きれいな姿だった。お焼香して、ムギを花で飾った。好きだったごはんも紙袋に入れ口元に置いた。
ムギの写真を何枚か撮った。ニルバーナのスタッフの方にお願いして、ムギと妻とぼくいっしょの写真も撮ってもらった。そのときだけマスクを外させてもらった。
お別れのときが来て、スタッフの方が火葬炉の扉を開き、ムギがのったワゴンを静かに押して中に収めた。扉が閉まりムギの姿が見えなくなったところで、もう一度お焼香した。
さようならムギ。ありがとう。

待合室へ戻った。1時間ほどかかるとのことだった。
コロナの影響でお茶を出していないというので近所の自販機を教えてもらい買いに行った。青空がまぶしかった。日差しで首の後ろがチリチリした。冷たい麦茶を買った。

観蔵院近くの竹林

自販機に向かう途中、立派な竹林があった

お別れの部屋も待合室も掃除が行き届いて清潔だった。待つあいだにお会計と骨壷カバーの選択をした。
それほど長くは感じなかった。1時間はかからなかったのだろう。お骨上げの用意ができましたと呼ばれ、となりの部屋へ戻った。
ムギはだいたい生前と同じ姿勢できれいな骨になっていた。
これが頭の骨、これがいわゆるのど仏、こちらが肩甲骨、という具合に説明してくれて、そのあと妻とぼくがお箸でお骨を拾い骨壷に入れた。しっぽや足の方から順々に上半身、頭の方への流れだった。
骨が乾いた清潔な印象であるためか、あまり感傷的な気分にはならなかった。妻と「こんな細い脚の骨で高いところからジャンプしてたんだね」とか「ツメの骨はちゃんとツメの形をしてるんだね」等の会話をした。
ある程度拾って気持ちがすんだところで、あとはスタッフの方がすべての骨を骨壷に納めてくれるというのでお任せした。

観蔵院ペット霊園ニルバーナ 合同供養墓

待合室で帰り支度をしながら待つことしばし、スタッフの女性が骨壺を持って来てくれた。蓋を取った状態で、頭骨が一番上で前を向いているのを見せてもらい、それから蓋をし、カバーをかけてもらった。
終了が13時半ごろだったと思う。約1時間半の葬儀だった。途中せかされる感じはまったくなかった。1組ごとに充分余裕のある時間がとってあるのだろう。
「近くだからお送りします」と男性スタッフが家まで車で送ってくれた。歩いても帰れる距離だが、暑いので助かった。
うちの前で「ムギをていねいに送っていただきありがとうございます。ムギも気持ちよく旅立てたと思います」とお礼を言った。

観蔵院ペット霊園ニルバーナで

ひだまりに石の猫さんがいた。

葬儀をおこなう意味。元気なうちに考えたい、いつか来る日のこと。

うちに入るとき、ああムギが行ってしまった、と思った。いつだって帰宅するとムギがいたのに、今日からは玄関ドアを開けてもムギはいないのだ。
しかし今日うちを出る前より気持ちが軽くなっているのも感じた。
ムギの葬儀は簡素だったが、充分であった。
観蔵院はお寺だがムギの供養に宗教色はあまりなかった。スタッフの方は終始おだやかで、ていねいで、いたずらに沈痛でもなかったし大仰でもなかった。
大切なものを亡くし心が傷ついているとき、赤の他人に優しくされることには大きな意味があるのだろう。それが職業的訓練や経験を積んだ人であること、心傷ついた人にそっと手をさしのべるすべを知っている人であることも重要だろう。
ムギが亡くなったのはぼくらにとっては大変なことなのだ。「大変なことですね。わかりますよ」と言葉ではなく態度で示してもらうことでぼくの気持ちは少し軽くなったのだと思う。
観蔵院ペット霊園ニルバーナを選んだのはぼくらにとっては正解だった。

大切な最後のお別れのときに無神経なあつかいを受け嫌な思いをしたら悲しみは深い。取返しがつかない。だからどこに葬儀をお願いするかは重要だが、愛猫との別れが初めての場合心当たりのない人が多いだろう。それに亡くなってからではどうしても動揺があるから冷静な判断が難しい。
できれば事前に一度調べておいた方がいいと思う。直前になればなるほどつらいから、猫がまだ元気な、いつかはそんな日も来るのだ、くらいの時期に、猫の見送り方にどんな種類があるか、費用はどれくらいかかるか、近所にどんな葬儀屋さんがあるかくらい見ておくことをおすすめする。
愛猫や愛犬を見送ったことのある友人の話を聞くのもいいだろう。
うちはたまたま動物病院の先生に紹介されたペット霊園が友人が愛犬を見送ったところでもあったのでずいぶん安心感を持てた。幸運だった。

(by 風木一人)


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