多様性に気がつく絵本?『とりがいるよ』(風木一人・さく たかしまてつを・え KADOKAWA)

例えば、だ。
白鳥の中にカラスがまぎれこんだら?
ミカンの中にリンゴがまぎれこんだら?
同じものの中に一つだけ違うものが混ざると、とても目立つ。
それはなぜなのか?
当り前だと思ったらそこでおしまい。
考え続けたら、この絵本が生まれた。

『とりがいるよシリーズ』についてはこのサイトでも何度か書いた。
絵のたかしまてつをさんと語る『とりがいるよ』制作について

複数のメディアでインタビューもしていただいた。
カドカワ文芸サイト:インタビュー

大事なことは話し尽くした気がするから、ここでは気楽に思いついたことを書こう。

ある絵本講座で講師をして『とりがいるよ』を読んだときのことだ。やはり講師としてみえていた飫肥糺(おびただす)さんが気に入って「いますぐ購入したい」とおっしゃった。
「何度か読み聞かせに使ったものだから差し上げます(新品でないから売れませんよ)」と申し上げたが「いや買いたいんです」と買ってくださった。
こういうのは嬉しい。プロ同士でまっすぐ認めてもらう嬉しさだ。
飫肥糺さんが『とりがいるよ』をどう気に入ってくださったのかはこちらで読める。<絵本フォーラム第116号>

絵本作家の西村敏雄さんはブックファーストの名著百選2017に『とりがいるよ』を選んでくれた。その年出会ったすべての本から最も印象に残った1冊を選ぶ、ブックファースト新宿店恒例の企画で、これも嬉しかった。

たかしまてつをさんはこの絵本のダミー(試作品)を初めてみたとき、赤ちゃん向けだとまったく思わなかったそうだ。
ぼくが赤ちゃん向けに作ったと言うとびっくりしていた。ナチュラルに大人のままの自分で読んで感動したから、なんの疑いもなく大人向けあるいは万人向けだと思った、と。
作り手の考えと受け手の考えは必ずしも一致しない。そこが面白い。

絵本の終盤いろんな鳥が集まり飛び立つ展開に、たかしまさんは「多様性の価値」を感じるとも言ってくれたが、ぼくはその時点ではそういうことはまったく意識していなかった。
ぼくが意識していたのは、一羽だけ違う鳥がいるというビジュアルアイデアを一番よい形で見せることだけだった。
しかし言われてみれば、たかしまさんが言うようにも見えるのだ。
実際、完成後、大人の集まりで読んだら「金子みすゞの『みんなちがって、みんないい』を感じました」と言った人がいた。同様の感想は他でも聞いた。

創作をしていると、入れたつもりのないものを受け取ったと言われることがある。その中には偶然もあれば、無意識の働きで知らぬ間に入れているケースもあるだろう。
ただ明らかに自分の心となじまないものは必ず気がつくから、偶然や無意識で入ることもないように思う。

(※北京天略図書有限公司より中国語版 刊行予定)
(※GILBUT PUBLISHING より韓国語版 刊行予定)

「とりがいるよ」風木一人・たかしまてつを・角川書店

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