言葉あそび絵本『だじゃれものがたり タンチョウヅルのたんじょうび』

『だじゃれものがたり タンチョウヅルのたんじょうび』風木一人・田中ひろみ・角川書店

画像クリックで、KADOKAWA文芸サイト「カドブン」インタビュー記事へ飛びます。

ぼくは絵本の文章作家である。絵本の文章作家として、いつか言葉あそびの絵本を作りたいと思っていた。
言葉あそびは物語にくらべて軽量級に思われがちだが、いささか不当な勘違いだろう。言葉あそびの根本は「意味と音が交錯する」ということで、これは言語にとって本質的なことだ。

『タンチョウヅルのたんじょうび』には「仮面をつけたカメ」が登場する。
カメと仮面は意味的には何の関係もない。しかしながら音が近いことによって日本人の頭の中ではどうしたってくっつきやすい。一方、turtle と mask は音が全然似ていないからアメリカ人の中ではまるでくっつかないだろう。

ぼくらは無意識のうちに「音が近い言葉は意味も近い」と考えている。それが大胆に裏切られるのがだじゃれの面白さで、意味の世界でがんじがらめになった意識を解放してくれるけっこうラディカルな楽しみなのだ。

言葉あそびを軽く見る人も、なぜか詩はあがめていたりするのは不思議だ。
詩は明らかに言葉あそびの一種だろう。意味と音の交錯によって美しさや面白さを創り出していくのだから。押韻もそのためにあるし掛詞もそのためにある。大昔からずっとそうだったのだ。
史上最高のロックバンドの名前だってだじゃれである。ビートルズは Beat と Beetle をかけて The Beatles なのだ。

結論。だじゃれはカッコいい。

言葉は誰もが毎日使っているものだからつい当たり前に感じてしまうけれど、実は全然当たり前ではなく、むしろ魔法である。
もし言葉がなかったらと想像してみるとすぐわかる。それだけで我々はもはや人間ではなくなる。しゃべることができないばかりか、考えることもできなくなってしまう。二足歩行でも道具の発明でもなく、言葉の魔法によって人類は誕生したのだ。

言葉は世界のあちこちで自然発生した、いい加減で野性味あふれる猛獣で、それを飼いならそうと文法なんてものを後から作ったけれど、すっかりペットのようになる見込みは21世紀となった今もまったくない。
ぼくらは毎日言葉一つで泣いたり笑ったりして生きている。
言葉を使うってことは猛獣使いで、大けがしたくなければ訓練しなければいけないのだ。

訓練といっても難しいことじゃないですよ。
言葉あそび絵本から始めましょう(笑)

『タンチョウヅルのたんじょうび』風木一人 田中ひろみ 角川書店

【amazonで見る】

『だじゃれものがたり タンチョウヅルのたんじょうび』

言葉の楽しさがぎゅっと詰まっています。
どうぞご覧くださいませ!

☆     ☆     ☆     ☆

※当ブログが電子書籍になりました。
『プロの絵本作り~本気で絵本作家を目指す人に~』人気記事に書き下ろしを加え、amazonで独占販売中(税込み250円)。専用端末の他、パソコンやスマホでもお読みいただけます。

ホテル暴風雨にはたくさんの連載があります。小説・エッセイ・詩・絵本論など。ぜひ一度ご覧ください。<連載のご案内> <公式 Twitter


トップへ戻る