第48話 恐るべきリツコリスペクト
小5の私は芸術の意味はろくすぽ知りませんでしたが、誰よりもリツコの芸術的才能を見抜いていました。
津川聡子の漫画世界へようこそ。ふだんはフーセンガムみたいな漫画を描いてますが、ここではニンニク臭ぷんぷん北関東の人気駄菓子ハートチップル的漫画を描いてます。
小5の私は芸術の意味はろくすぽ知りませんでしたが、誰よりもリツコの芸術的才能を見抜いていました。
私は子どもの頃、周りの大人や有名な偉人よりも身近な友達を尊敬していました。とくに小5からの親友リツコは何をやっても「かっちょいい!」と崇拝していました。
子供の頃一人で過ごしたどうってことない時間を、家族や学校の楽しげな行事よりも鮮明に覚えているのは、この世の中で自分しか記憶している人がいないという潜在的な危機感から…かな?
前向きな正論が受け入れられない…サトコのちょうどそんな時期は「夕焼けニャンニャン」全盛期でした。
音大に行くにはピアノを休んで受験勉強をしろ!志望校に入るには学校を休んで塾へ行け!言われるがまま実践したサトコはどうなったかというと…?
音大に入るためにピアノを休んで受験勉強をすることに矛盾を感じることもなく勉強をがんばっているつもりのサトコ、その成果は…?
自分にはピアノしかない…そのピアノも先生の言う通りにしなければモノにならない…そんな危機感に襲われつつピアノ道を進むサトコがぶち当たった壁は…!?
力を抜くことは、力を入れることより難しいし、力を抜くことを教えるのはもっと難しい。それをサトコに教えてくれた神原先生の神業はいかに!?
「悔しくないのか?」「悔しいです!」「俺はお前たちを殴る!」先生と生徒が泣きじゃくりながらそんな会話を交わすドラマが流行った時代、サトコとピアノの先生はというと…
大先生の風貌、お宅、ピアノの響き…あれはどこまでが現実でどこからが白昼夢だったのか?四半世紀以上たった今となっては確める術はありません。ただ、あの日いただいたありがたい言葉は、はっきりと覚えています。