BBCで見るアメリカ大統領選。なぜドナルド・トランプだったのか?(前編)

今回の記事は、急きょ予定を変更し、アメリカの大統領選についてのイギリスでの報道のされ方と、私見についてまとめてみたいと思います。(カットさんインタビュー後編は来週アップしますのでご了承ください)

今回取り上げる記事はBBCから下記の三つです。

1、誰がドナルドトランプに投票したのか?
http://www.bbc.com/news/election-us-2016-37922587

2、ヒラリークリントンは何を間違ったのか?
http://www.bbc.com/news/election-us-2016-37922959

3、中国はアメリカが弱くなるチャンスをうかがっている。http://www.bbc.com/news/world-asia-china-37924880


まず、1の記事では、出口調査の結果を、投票者のカテゴリー別に分析しています。

例えば、投票した男性のうち、53%がトランプ氏を支持していました(ヒラリー氏は41%)。一方、女性差別主義者であると言われていたトランプ氏への女性による支持率は、42%(同ヒラリー氏は54%)でした。
人種別で言うと、白人の58%がトランプ氏支持なのに対し、黒人はわずか8%です。一方、何かと話題になっていたメキシコ人を含めたヒスパニック系の人たちは、29%がトランプ氏を支持しています。
収入別でいうと、(日本では低収入層がトランプ氏を支持しているかのように報道されていますが)実際は年収50,000ドル以下の人たちの間では、クリントン氏の支持率が高く(トランプサイドが41%に対し、ヒラリーサイドが52%)、50,000ドル以上の人たちは49%がトランプ氏を支持し、ヒラリー氏の支持率47%を上回っています。

つまり、本来なら反トランプになりそうな人たちの層で、強いトランプ不支持層が生まれなかったことが、選挙結果に大きく影響を及ぼしているようです。

また、2の記事では、ヒラリー氏は様々な理由で嫌われていたことが説明されています。

例えば、ヒラリー氏は自身の政治家としてのキャリアによる大統領への適性をアピールしていましたが、多くの有権者は政治家よりもビジネスマンを求めていたとしています。
また、ヒラリー氏は多くの有権者から信用されていないという問題もあったようです。Eメールの問題は勿論ですが、彼女が東海岸出身のエリートで、労働者を見下していると感じられていたことも問題だったようです。
この信用の欠落は同性の投票者からも同様だったようです。トランプ氏が、ヒラリー氏は自身の夫すら支えられないといって攻め立てたとき、多くの女性の有権者も賛同したとされる例からもわかる通り、これだけ多くの女性の投票者がいながら、彼女たちの支持を集められなかったことがヒラリー氏サイドの敗北の問題点だったようです。

さらに、多くのアメリカ人が変革を求めている時に、ヒラリー氏は既存の政治家と全く変わらないように映っていました。そればかりか、彼女のスピーチは抑揚がなく、まるでロボットが話しているように感じられることもあったそうです。展開されたキャッチフレーズも弱く、ヒラリー氏が言う “Stronger together(共に強く)”は “Make America great again(アメリカを再び偉大な国に!)”に比べ、有権者に響かなかったようです。

――――後編へ続きます。