今回紹介するのはイラク出身のO君です。
年は三十代後半で、政治学を学ぶためにポーツマス大学に入学していました。
さすがに今回は皆さんご存じの国だと思います。ただし、先日のテロ事件を筆頭に、ネガティブな情報のせいであろうことが問題ではありますが…。
ところで皆さん、あなたは何人ですかと聞かれると、日本人です、と答えますよね?
中国人に聞いてもそうですし、韓国人に聞いてもそうだと思います。
日本出身者は日本人であり、韓国出身者は韓国人というのが我々の常識ではないでしょうか。
しかし、世界にはこの出身国と○○人というのが一致しない人や地域があります。
今回のO君もそんな一人です。
イラク出身だと聞いていたので、当然ながらイラク人だと思ったのですが、彼はイラク人ではない、と言いだすわけです。
いったいどういうことだと思って話を聞いていると、イラク人というとイラク出身のアラブ系の民族のことをいい、自分たちは別の民族のクルド人であるというわけです。
クルド人と言われてもピンとこなかったので少し調べてみたのですが、民族全体で3000万人程度いるものの、特定の国を持たない山岳民族のようです。イラク在住のクルド人は、フセイン政権下では常に弾圧を受けていたらしく、O君は「いやー近所の人たちが数千人死んじゃったことがあるんだよ」とさらっととんでもないことも言ってくれました。
クルド人と話す機会なんてなかなかないので、色々と彼から現在のイラクについて聞いていたのですが、シーア派とスンニ派のイスラム教徒内での対立に加え、民族的な対立もいぜん燻っているようですね。言わずもがなクルド人とアラブ人の対立ですが、イラク内ではクルド人が多数を占める地域なんかもありますし、現在の大統領がクルド人だそうです。O君はクルド人ですので、当然ながらクルド人の立場を高めたい人間ですが、それがまたアラブ人との対立を招くという…。
ただし、ドタバタもだいぶおさまってきてはいるそうです。安全なの?と聞くと、勿論やばい地域もあるけど安全だよ!って言われました…。うーん。
そういえば以前メキシコに行った時も、メキシコ人の友人から、「メキシコは安全だよ!あ、でも流しのタクシーは乗っちゃだめね。山に連れていかれて殺されちゃうかもだから」と言われたことを思い出しました。それを日本では危険な国って言うんだよと(苦笑)
国の安全性については、その国の人に聞くよりは周辺国の人に聞いた方がいいかもしれませんね。
それでも一度イラクの様子を見てみたいと思い、イラクへの入国について調べてみたことがあるのです。
が、残念ながらイラクに入国した経歴があると、アメリカへの入国にビザがいるようになるそうなので、断念しました。
もう少し先、情勢が安定し、アメリカ入国にも影響を与えないならば、いつか彼を訪ねてイラクに訪れてみたいと思います。