前回(その1)で触れたような厳しいプレッシャーに加えて、昨今の政治的な情勢もあり、香港の人の中国に対する感情は複雑、というか苛烈です。
曰く、香港の土地が高いのは中国人が買い占めるからだ、日用品が中国人に買いあさられる、中国人はマナーが悪い、といったフレーズがことあるごとに登場します。
勿論、中国人の行動に問題が色々とあるのは間違いないですが、その一方で自分たちの立ち位置を中国への入り口だ、としているということは、まさに中国の存在によるメリットを受けているわけであり、自己矛盾をはらんでいます。
しかし、少しずつではありますが、確実に香港への中国政府からの介入は進んで行っており、こういった中国への反論を述べる人自体が駆逐されていってしまうのであろうとは感じます。
一方、訪れた“Hong Kong Electronics Fair”はIT周りの機器などが中心の展示会でした。さすがに世界でも有数の展示会場と言うだけあり、広大なスペースに、一日ではとても見切れない数の出展がありました。とても興味深いのは、ほとんどの出展者は中国の中小企業であり、おそらく元々は下請け工場であったと思われる企業ばかりでした。
下請けでやっているだけではなく、自社のブランドを持ちたいという思いが強いのでしょうが、下請け製造で作っていた商品そのものか、そうでなくても若干の手を加えたようなレベルの商品ばかりで、どれもこれもどこかで見たことのある商品ばかりな印象でした。勿論、知的財産上にも多くの問題を抱えているであろうことは言うまでもありません。
このあたりの中国企業のしたたかさというか、怖いもの知らずなところは、日本の企業も頭を抱えているところだと思います。
ただし、結局他の国の人たちがそれを購入し使ってみると、意外と(?)性能が良いので、使い続けていくであろうことも容易に想像がつきます。このあたり、ドバイのドラゴンモールで感じた、世界への中国製品の浸透ぶりと相通じるところだと思います。
ちなみに、ほぼ全てのブースが中国人で切り盛りされており、ほとんどのスタッフが英語を話せていました。勿論、拙い人も多かったですが、気後れせず商品説明をしています。このあたり、日本の中小企業だと通訳を雇って…という話になってしまうでしょうから、それだけでコストも手間もかかり、参加することを躊躇してしまい、結果的に世界での日本人と中国人との勢いの差の一因にもなるのでしょう。
既にこの半年で3回目の香港訪問だったのですが、改めて今までいかに表層的にしか香港を見ていなかったのかわからされた気がしました。
視察と言うだけであれば、様々な国を訪問していくという選択肢もあるのでしょうが、深く学ぼうと思うと、何度も訪れながら今回のように現地の人に話を聞き、深堀していく必要がありますね。