電気売りのエレン 第14話 by クレーン謙
どうやら俺の魔術が、フレムに気がつかれてしまったようだ。 俺は暗くなってしまった水晶玉を見つめながら、さてどうしたものか、と考えた。 「ゾーラ殿、どうかされましたかな?」 船室の窓の...
どうやら俺の魔術が、フレムに気がつかれてしまったようだ。 俺は暗くなってしまった水晶玉を見つめながら、さてどうしたものか、と考えた。 「ゾーラ殿、どうかされましたかな?」 船室の窓の...
僕らは、馬車に揺られながら港町の雑踏の中へと入っていった。 港町は城壁の町とは違い、様々な人種の人々がいて、見た事もない魚や品物が市場で売られていた。 その時、急にフレムの顔が険しくな...
ヴァイーラ伯爵は手を後ろにまわしながら、船室の窓から眼下に広がる港町を見ていた。 やはり、何を考えているのか、さっぱり分からん男だ。 魔術師の俺ですら、この男の真意を読む事が難しい。 ヴァイーラ...
俺は港に停泊している、三本マストのフリゲート艦を見上げた。 船横には巨大な大砲が数多く据え付けてあり、とてもではないが「商船」には見えなかった。 きっと彼らは、この巨大な大砲を商売の取引相手に見せ...
城壁の町を出てから3日目の朝、僕とフレムを乗せた馬車は海が見渡せる小高い丘の上にたどり着いた。丘の下に、小さな港町があって、大きく帆を広げた船がとまっているのが見える。 この目で海や、大...
・・・・ワシの狙いは最初から、あの馬にあった。 ワシの目に狂いがなければ、エレンのあの馬は、ワシが長年探していた伝説の「一角獣」に違いなかった。 最初に市場であの馬を見かけた時、あの馬...
南へと馬車を走らせ続け、夕方も近くなってきた頃。 南側の空に灰色の雲が現れ、遠くに稲妻が光っているのが見えた。 ずいぶんと久々に稲妻を見たような気がする。 僕は恐る恐るとフレムに聞い...
フレムは僕の話を、白い顎ヒゲを撫でながら聞いていた。 抜け目のない顔で、少しニヤニヤしながらフレムは言った。 「よし、そうなれば話は早い。エレン、先に行って馬車を走らせる準備をしてきてくれ。ワシも...
僕は電気を売りながら、その男の事をチラチラと観察していた。 片腕がないその男の所には、少し裕福そうな客が訪れてきているようだった。 客たちは並べられた壺の中を物色して、それらの電気を買って...
産まれてから、ずっと山で暮らしていたからなのか、実はというと僕はあまり都会が好きになれない。 でもレーチェルは都会に憧れている。 そりゃね、確かに都会はキラキラとしてきらびやかだ。 でも、そのキ...