こんにちは。ベルボーイのメグロです。もうみなさまには何度かお会いしているのですが、もしかすると名乗るのは初めてかもしれません。以後どうぞよろしくお願いいたします。
さて、先日明らかになったように、我らがベルキャプテンはすごく力持ちなんです。力仕事はいいから、お客様をお待たせせず、ホテルの中の設備やサービスについて的確にご説明しつつご案内することに専念しなさい、といつも言われてはいるのですが、私たちもキャプテンのようになりたくて日々身体を鍛えています。ですが成果は……いやいや何ともお恥ずかし限りです。名誉のために申し上げますと、二人掛かりならば普通の荷物は持てるのですよ。あのお客様の荷物には何かこう、特別な重さがありました。
それにしても謎めいたお客様です。もちろん、様々なご事情をお持ちのお客様がいらっしゃいますから、それを詮索したり干渉したりなど、しようとは思いませんが、あまりに緊張されていたり、お疲れのご様子ですと、少しでもリラックスしていただける方法はないものか、つい考えてしまいます。それに、どんな方なのか、やっぱり気になります。
謎……そうそう、私の趣味や休日の過ごし方をお話しするのでした。私はクロスワードパズルが大好きで、パズルだけでなく、ヒントをもとに謎を解くことが趣味と言ってよろしいかと思います。サスペンスドラマや名探偵の出てくるお話もいいですね。やっぱりシャーロック・ホームズには憧れますが、名前が「メグロ」なので「メグレ警部」シリーズも好きです。「万能翻訳機」のおかげで英語もフランス語も読めるので便利です。もちろん日本語も読めます。目黒不動尊が出てくる「虚無への供物」、それに最近では小鳥がたくさん出てくる「小鳥を愛した容疑者」にも感銘を受けました。
キャプテンが「キャプテン・メジロ」なんだから、私のことは「メグロ警部」と呼んでよ、とみんなに提案したのですが、「どうして『だから』なのかわからないよ」だとか「警部じゃないでしょ」だとか、散々でした。みんな、ちょっと遊び心が足りないなあ。みなさま、ホテルで私を見かけた際にはお気軽に「メグロ警部」とお声かけくださいませ。メグロでした。
メグロくん初登場の回はこちら
https://hotel-bfu.com/hibi/comic-hibi/2016/04/21/ep_3/
キャプテン・メジロの怪力ぶりが見られるのはこちらです!
https://hotel-bfu.com/hibi/comic-hibi/2016/05/19/ep_5/
※文中のメグロくんの読書について補足(Amazonへのリンクがあります)
シャーロック・ホームズシリーズ……コナン・ドイル著
言わずと知れた世界的名探偵。 完訳版全集も出ています
メグレ警部シリーズ……ジョルジュ・シムノン著
こちらもシリーズ百編を超える古典的作品。紙書籍はほぼ中古で探すしかないのが現状ですが「紺碧海岸のメグレ」79年ぶりの再刊、完訳版!が昨年出てます。新訳ブーム来るか!?
(最近では「名探偵コナン」……青山剛昌作の目暮警部の方が日本の若者には有名?コミックは現在なんと89巻、新刊の映画版ノベライズも大人気)
「虚無への供物」……中井英夫著
日本三大奇書に数えられる名作。奇書といっても読みやすくテーマも驚くほど現代的。目黒不動尊だけでなく、目白・目赤・目青・目黄の東京五色不動尊が出てきます。死ぬまでに読むべき一作。電子書籍版もある、新装版がオススメ!
「小鳥を愛した容疑者」……大倉崇裕著
ミステリとして面白いのみならず、動物好きには笑いあり涙ありの後、色々考えさせられる名短編集。
福家警部補シリーズで知られる作者ですが、薄圭子巡査も、すごくいいです!
「ホテル暴風雨の日々」次回もどうをお楽しみに!