こんにちは。
ドアマンのサオーです。
私、見たんです!
あれはこの間の満月の夜のこと。夜の海を愛船の小さなボート「サオー丸」で漕ぎ出して行ったところ、急に霧が出て来たので慌てました。風はほんのわずかでしたが、近くの岩の風下側に回ってアンカーを打ち、なるべく接岸して晴れるのを待っていました。
深夜の霧とは厄介なものですが待つ以外にすべはなく、ぼんやりしていたのだと思います。はっと気づくともう霧はなく、曇天ながら見事な満月、そして満月を背景に大きな影が見えたのです。
ボッフィーは、暴風雨伝説の海獣です。
時々目撃情報が寄せられ、不鮮明ながら写真もあります。
ホテル暴風雨のある島は動いていますので、島を追ってボッフィーも動いているのか、はたまた島がボッフィーを追っているのか、お互い動き回ってたまに遭遇しているのか、まったくわかっていません。
全体像としては首長竜のような姿なのですが、最大の特徴は、水棲生物としては非常に珍しい「耳」があることです。哺乳動物の頭の上の方についているタイプの「耳」です。
色は緑色だとも紫色だとも言われています。
私が遭遇した時は、暗かったので色まではわかりませんでしたが、耳の形は確かに見ました。かなり大きな耳で、頭の大きさに対する割合は、ウサギの耳ほどではないにせよ、猫の耳くらいはありました。
いや〜感動です。言ってもみんな、「真っ暗だったんでしょう?」と、信じられないという顔をするのですが、私たち狛犬は昼夜を問わず悪鬼を払うのが仕事、悪鬼といえば夜に出現しがちですから、夜目は効くのです。ウオー君や、同じく夜目の効く総支配人は信じてくれるのですが。
しかし、ボッフィーの泳ぐ速さにも驚きました。目の前にいたと思ったらあっという間に満月の沈む西の空の方へぐんぐん泳いで行き、じきに、海に入ったのか遠ざかりすぎたのか、見えなくなってしまいました。
今になると、話しかけてみればよかったと思えてなりません。種類の違う生物と仲良くするのは得意な私たちですが、なかなか姿を見せてくれないのではしかたがないです。それとも、稀な遭遇を楽しみに、そっとしておく方がよいのでしょうか?
客室係のハナさんはボッフィーの大ファンなので、この話をすると目をキラキラさせて喜んでいました。今度の満月の日にでも、夜じゅうボートに乗って待っていよう、と言うのですが、ハナさん、どのボートで行くつもりなのでしょう。と言いますか、どれだとしても奇抜すぎて、ボッフィーもびっくりして逃げてしまうのではないか、それが少々気になっているところです。
ホテルの、海の見える部屋の窓からボッフィーの姿を確認した方もいらっしゃいます。皆様もホテル暴風雨へお越しの際、月明かりのある晴れた夜には、海を眺めてみると、会えるかもしれませんよ。サオーでした。
ハナさんの奇抜な乗り物好き、そしてボッフィー型ジェットスキーについてはこちらをご覧ください
「ホテル暴風雨の日々」続きをお楽しみに!