ハロー、みなさま!ホテル暴風雨の海中顧問、クラーラよ!
海の様子を調べるためにかれこれ半年も旅をしてきたので、ホテル暴風雨の島へ帰ってくるのは久しぶりです。
あまりひとところに居着かないたちなんですが、この島にはスタッフ用の部屋のひとつとして、わたくし専用の海中洞窟がちゃんとあって、なかなか居心地がいいんです。
それに、みんなが「おかえりなさい」って言ってくれます。一応スタッフとはいえあまりホテルにいないものだから、会ったことのないスタッフも多いのだけれど、みんなわたくしのことは知っているのね、必ず「おかえりなさい」と挨拶してくれるの。これも総支配人・テンペストさんの教育の賜物かしら。
今回の進路決定会議では考え抜いたわたくしの意見が通らなかったのが残念です。最終的な進路はわたくしたちが決めるわけではないんですけれどね……。
まったく、おチヨさんときたら、わたくしより30歳ばかり年長だからってお姉さんぶるのはどうなのかしら。30年って、すぐ死んじゃうあまりご長命でない方には長い年月でしょうけれど、わたくしみたいに年齢が4桁に達しているものにとってはもう誤差みたいなものなのに!
まあ、何にせよ、久々でちょっと浮かれた気分になってしまっています。自分が言われると嬉しいものだから、海中階のお客様がたに「おかえりなさいませ」ってご挨拶して回ってみたり。
常連の方々はともかく、そうでない方は気絶続出で、すごく面白かった困ってしまいました。テンペストさんには「あまりお客様を驚かさないように」と釘を刺されてはいるのだけれど、ほら、海中顧問としてはご挨拶したいじゃない?
そんな中、驚きやすい陸上生物の中でも「何かと大騒ぎしがち」だと思っていた、人間のお客様と知り合いました。
アルバート様とおっしゃる方なんだけれど、ほんとうに落ち着いていて度胸がおありだわ。わたくしを見て驚かないなんて。
アルバート:「いえいえ、危うく腰を抜かしかけましたよ」
クラーラ:「でも今はこうして普通にお話ししていらっしゃる」
アルバート:「ここへきて、めったなことでは驚かなくなりました。それに、あなたの出現を実は予感していたんです。ですから、『ああ、やっぱりなあ』と」
クラーラ:「あら、それ、どういうこと?」
アルバート:「話せば長くなりますが」
クラーラ:「わたくしは全然構いませんよ。よろしければお聞かせくださいな。ていうか、聞かせて!聞かせて!」
アルバート:「はい……」
さて、どんなお話なのでしょうか?
クラーラさん初登場の回
海中会議室騒動についてはこちらを!
「謎の男」ことアルバートさんについてはこちらをご覧ください。
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