みなさまこんにちは。ベルボーイのメギです。
今日は私、ジュロウシェフのお手伝いをしているんですが、困ったなあ、一人じゃなかなか終わらないし、しかもこれ、持てないなあ。あ、あれは……
やあメグロくん、いいところに!ちょっと手伝ってもらえないかな。
メグロ:「やあメギくん、いいけど、何してるの?」
メギ:「きのこ採りだよ。このかごにいっぱい採ってきてほしいって、ジュロウシェフに頼まれちゃって」
メグロ:「へえ〜、どれどれ、どんなきのこ?」
メグロ:「メギくん、なんていうか、チャレンジングっていうか、攻めてるっていうか、毒々しいよね、君の採ったきのこ。そこに生えてる、灰色っぽいきのこのほうが、しめじみたいで美味しそうじゃないかな」
メギ:「そうかなあ?あんまり味がなさそうな気がするよ。それにほら、色が鮮やかなきのこは食べられないっていうのは迷信だってどっかに書いてあったし」
メグロ:「どっかに書いてあったって、メギくん、きのこに詳しいわけじゃないの?」
メギ:「ええっ?全然詳しくないよ、きのこのことなんて」
メグロ:「そうだよねえ、そんな話、聞いたことなかったもんね。じゃあ、シェフはどうして君に頼んだんだろうねえ。そういえば最近、よくジュロウシェフのお手伝いをしてるよね」
メギ:「そうなんだ。厨房のスタッフだっているし、ベルの中だったら、メアオくんのほうが料理も上手で器用なのに、どうしてなんだろう」
メグロ:「謎だ!謎の匂いがするぞ!そのきのこ、食べるためのものなんだよね」
メギ:「ちゃんと確かめたわけじゃないけど、多分そうじゃないかな」
メグロ:「じゃあ、きのこの知識がないメギくんに頼んだら、間違って毒きのこを採ってしまうかもしれない。そうは思わなかったんだろうか、シェフは」
メギ:「変だよねえ。しかも、誰かに手伝ってもらってもいいけれど、きのこ選びだけは必ず、美味しそうだという君の直感に従って、他の人にはやらせないこと、なんて言われたよ。あっ、シェフは毒に当たらない体質だから、自分で食べるためじゃないのかな。それなら毒きのこOKでしょう」
メグロ:「う〜ん、必ずメギくんが選ぶようにわざわざ言うからには、理由があるはず……実はメギ君に美味しいきのこ選びの才能があるのかな?でも、シェフだってすごく鼻が利くのが自慢なんだから、自分だけが食べるためなら、シェフは自分で採りに行く気がするんだよなあ」
メギ:「も、もしかして、ぼくには毒きのこばかりを選んでしまう才能があるんじゃ!?ほら、ジュロウシェフ、毒きのこがけっこう好きだから」
メグロ:「それも変だよ。シェフは、美味しければ毒きのこでも当たらないというだけで、毒入りのものが特に好きなわけじゃないでしょ。毒が入ったのはお店で出せないしスタッフにも食べさせられないから、一人で料理して食べる背徳的な楽しみはあるのかもしれないけれど……」
メギ:「あっ、それに、思い出した!この間もきのこを採って行った時、ご褒美にそのきのこの料理を食べさせてもらったんだった。毒なんかなくて、とっても美味しかったよ」
メグロ:「ほんとに?遅れて効く毒だったりして」
メギ:「何てこと言うんだ……ブルブルブル」
メグロ:「冗談だよ〜。なるほど、毒ではないと。しかも、シェフが新しい食材をこんなにたくさん必要としているなんて、お店で出すためや自分で食べるためというより、新しい料理、そうだ、もうじき開かれるスタッフの巨大豆試食会のためっていう方が自然じゃないのかな……わかった!私の灰色の脳細胞はすべての謎を解明したぞ!!」
メギ:「なになに?」
メグロ:「逆なんだよ、きっと。メギくんには、美味しくて無毒のきのこを見つけ出す才能があるんじゃないの?シェフは自分が美味しいと思うきのこを探す名人だけれど、採ったきのこに毒がないかはよく調べないとわからない。でもメギくんに頼めば、念のため調べるにしてもちょっと手間が省ける、そう思ってるんじゃない?」
メギ:「確かにそれなら筋が通るね。それにしても……な、なんてことなんだ……!!」
メグロ:「どうしたのメギくん。毒見役みたいなお手伝いをしてたのが、そんなにショックだったの?」
メギ:「違うよ、あのジュロウシェフが、ぼくの中にそんな隠れた才能の種を見つけてくれたなんて、感激してしまって!」
メグロ:「種じゃなくて、才能の胞子って言った方がいいんじゃない?きのこだし」
種じゃなくて法師?お坊さんのこと?えっ、違う?ああ、胞子ね、きのこが増えるときの粉みたいなの……なになに、なんかぼんやりしすぎてるって?大丈夫、大丈夫。さ〜てがんばってきのこ探さなくちゃ。メグロくん、この黄色と紫色のは決定だから、採ってくれる?
というわけで、豆試食会が楽しみです。メギでした。
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