・・スカッシュ
休日にスカッシュをするのである
借り物のボールとラケットでスカッシュをするのである
スカッシュのボールは黒くて
小さな点がふたつついている
ずいぶんと跳ねにくいボールである
跳ねにくいのを我慢して
ずっと壁に向かって打ち続けていると
徐々にあたたまって跳ねやすくなるのである
たまに親切で人見知りしない人が
いっしょにやりませんかと声をかけてくださるのだが
ありがとうと言ってことわる
僕はスカッシュのルールを知らんのである
やれば人にけがをさせる気もするし
ただ壁打ちがしたいんである
実を言えばラケットの持ち方も知らん
むかしかじったテニスの打ち方で
延々と壁打ちしている
だから僕はスカッシュをしているというよりは
なにと名前のつかない球技の壁打ちをしているのかもしれない
名前のないなにかは
二十分ほど続けると飽きて終わる
僕は日記を書かないが
もし日記帳があれば多少の嘘もよしとして記すだろう
今日はスカッシュをした と