・・汚れた靴
このかなしみはぼくのもの
星の光に打たれて歩き
汚れた靴を見ながら歩き
まっすぐ顔をあげられない
このかなしみはぼくのもの
いったいなにがかなしいのかと
たずねられたら「ぜんぶ」とこたえ
微笑みさえもぎこちない
このかなしみはだれのもの
札束いくつ積まれても
ほかのひとでは触れられない
このかなしみはぼくのもの
どのかなしみがぼくのもの
君が大事な人を失くした
そのかなしみは君のもの
ここにある
このかなしみがぼくのもの
だけど
あれはだれ
あのまちを
星の光に打たれ
歩いていくのはだれ
汚れた靴で石を蹴っているのはだれ
消えそうな影
あれはぼくではないはずなのに
このかなしみはだれのもの