第182話 チミだけだよ〜 後篇

顔を引き攣らせながら夕飯を食べた誕生日の翌日、荷物の再配達の手続きをしようとしたら……

テーブルに置いたはずの不在票が見当たりませんでした。

念のためゴミ箱を確認しましたが……

やはりなかったので、てる君にラインで聞いてみたところ、すぐに折り返しの電話がきました。

念入りに確認しましたが……

結局、再配達の依頼をしないまま、荷物は届きました。

小学生からの親友、リツコからの花束でした。

私は子どもの頃、周りの大人や有名な偉人よりも身近な友達を尊敬していました。とくに小5からの親友リツコは何をやっても「かっちょいい!」と崇拝していました。
小5の私は芸術の意味はろくすぽ知りませんでしたが、誰よりもリツコの芸術的才能を見抜いていました。

ゴミ箱を漁ったり、汚いズボンのポケットに手を突っ込んだりした屈辱と不快感はきれいに吹っ飛びました。リツコ!チミだけだよ~!!ありがとー!!!

後日、吉ちゃんは夕飯、八ちゃんは新生姜ジンジャーエールを作ってくれました。

……というか、作らせました。

(津川聡子 作)


*編集後記*   by ホテル暴風雨オーナー雨こと 斎藤雨梟

津川聡子作「やっとこ!サトコ なう」「第182話 チミだけだよ〜 後篇」いかがでしたでしょうか。
リツコさん! お久しぶりです!!
本当にありがとう、心の友よ〜!!! という気分になれました。
恐ろしい誕生日とは宅配便不在票が行方不明でゴミ箱漁りということでした。大雨のち晴れで、良かった良かった。吉ちゃんと八ちゃんもエラい!来年は密かに準備しておくときっとすごくいいことあるゾ〜。そう思いますよね、みなさんも。

「やっとこ! サトコ なう」へのご感想・作者へのメッセージは、こちらからどしどしお待ちしております。次回もどうぞお楽しみに♪

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