今回は香港出身のV君の紹介です。香港の会計事務所で数年働き、キャリアアップのためにイギリスに留学に来ていました。
彼はプレセッショナルの最初のグループワークで同じチームになって以来、この一年間ずっと仲良くしていた友人でもあります。
以前にもお話ししました通り、プレセッショナルは英語を第一言語にしない人たち向けの英語のクラスです。そのクラスのグループワークで、私とこのV君、そしてもう一人の中国人J君と三人でグループを組みました。
当初、彼ら二人は中国人同士なので、中国語で会話ができるのだろうと思っていました。しかし、よく聞いてみると二人の間も英語でのやり取りになっているわけです。
その理由をV君に聞いてみると、言葉が違うんだよ、と言われて私は???となりました。
例えば、日本でも方言で話すと何を言っているかわからないことはありますし、ヨーロッパ諸国でも、スイスのようにドイツ語やフランス語が入り混じっている国はあります。
ただ、私はてっきり中国人は、皆中国語を話す人たち、だと思っていたので、当初はV君が中国人と中国語でコミュニケーションをとれないという事実に戸惑いました。
中国の場合、多くの中国人が話すのは北京語(日本でいわゆる中国語、とされている言語です)、香港の人が話す言葉が広東語であり、全く異なる言語のようです。
例えば、中国語として誰もが知っている「ニーハオ」は、広東語では「レイホー」になり、発音が全然違います。使う漢字も北京語の簡体字ではなく、日本の漢字に近い伝統的な漢字です。
そもそも広東語は、文字通り広東地方を中心に使われる言葉ですので、広東出身の人たちをはじめ、中国人であっても広東語を母語にする人たちもいます。ただ、そういった人たちでも中国人であれば、共通言語として北京語も話せるようになっているわけです。
ただ、香港の人たちは広東語「も」話せる人たちではなく、広東語「しか」話せない人たちであるということです(勿論人によりますが)。
この言語の違いは象徴的な点ですが、実は香港と中国の間にはかなり根深い問題があります。
この話は来週に取り上げてみようと思いますが、そもそも中国人と同一視されることを嫌がる香港の人たちが多いことにイギリスに来て初めて気づきました。
さて、話をV君に戻します。
こちらに来て多くのユニークな友達に出会いましたが、彼はまた違った意味でユニークな存在でした。
ともするとインターナショナルな人たちは、自己主張の強い人たちが多いです。闊達な議論と言えば聞こえはいいですが、あちこちでいざこざが起こってしまうのもまた事実です。
そんな中でV君はあまり主張せず、誰とでも仲良くなれる稀有な存在でした。
先ほどのグループワークでも、私もそうですし、もう一人のメンバーのJ君も非常にこだわりの強い人間でした。しかし、V君がそんな私とJ君の間をうまく取り持ち、グループとしての仕事をまとめあげてくれました。
勿論個人差はありますが、他の香港の人たちを見渡しても、他国の出身者と比べ人当たりがいい人が多いように思います。香港は、中国の文化と西欧の文化が混じった地域だと言われていますが、人々の考え方も日本人には親しみやすい地域なのかもしれませんね。また日本に帰国したら、一度訪ねてみたいと思います。