中国にして中国にあらず?香港ってどんなところ?

中国に一国二制度という状況があるのはご存知でしょうか。
中国では歴史的な事情で、香港とマカオだけ他の中国の地域と法律や制度が違っています。

私もこの一国二制度については、留学する前にも仕事の関係で触れていました。
というのも、例えば商標権を中国で取得しようとしても、香港は香港で独立した制度になっています。
従って、香港は香港、中国は中国で商標権を取得しなければなりませんでした(勿論、費用も二国分かかります)。

ただ、制度が違っていることは理解していても、国民性や文化にそんなに大きな違いがあるとも思っていませんでした。

こちらに来て感じたのが、香港の人たちの香港への帰属意識の強さです。
例えば、「どこ出身?」と聞くと、私の場合だと日本となりますし、中国人は中国と答えます。その上で、日本のどこ? 中国のどこ?となって初めて、各都市名が出てきます。

一方、香港の人たちは最初に香港出身だと答えます。
独立した国ではありませんが、彼らの意識では香港は限りなく独立国に近いものになっています。
その意識が特に強い人たちは、自身のことを「HongKongger(ホンコンガー)」と呼んだりします。

確かに、話を聞いていると中国と香港の状況は大きく異なります。
一党独裁政治の中国とは異なり、香港は基本的に民主主義に基づく地域です。
結果、中国では使えないフェイスブックやグーグルも使えますし、デモも行えます。その最たる例が数年前に起こった反政府デモでしょう。中国では絶対にできないですよね、あんなデモは…。

ともかく、香港の人たちは中国人と同一視されることを非常に嫌がります。

先週に少し述べた北京語、広東語の話もまさにその一環で、香港の人たちは広東語にプライドを持っており、北京語を学びたがらない傾向にあります。なぜ自分たちが北京語を学ばなければならないのか、と言っている香港出身の友人がたくさんいます。

そしてそんな香港の人たちを中国人が良く思うはずもなく、いざこざがあちこちでおこってしまうわけですね。

ただ、香港の人たちによれば、中国政府による浸食は徐々に強くなっていっているようです。中国政府を批判する本を出版販売していた書店の店主や作家などが一斉に失踪した後に中国で見つかり、彼らの中国についての意見が大きく変わっていた、等という事件も起っています。いったい何が起こったのか、真相の究明はされていませんが、状況を考えれば誰が何をしたのかは明白でしょう。

また、昔は自分たちの方がお金持ちだったのに、今では中国人にも自分たち以上のお金持ちが多数いることが、香港の人たちの自尊心を傷つけているということもあるのでしょう。
香港の人たちの中国人に対する言葉が、中国人の香港の人たちに対するそれより攻撃的なのも気になるところです。

例えば、「北京語は中国政府がバカでも学べるように伝統的な言葉を破壊して作ったものだ。広東語の方が中国の伝統にのっとった、正当で高度な言葉だ」といった攻撃的な言葉を発する香港出身者もいます。

地域愛や愛国心は大事だとは思いますが、その一方でこのような形で攻撃的になってしまうと、ちょっと辟易としてしまいます。

いずれにせよ、香港と中国の関係は、まさに過渡期です。香港の学校教育が、北京語に全て変わるという話もあるようですし、香港の若者が中国人と同じような考え方をしていると嘆く香港の人たちも多いです。

できれば、穏やかな形で収束してほしいとは思いますが、状況が状況だけに難しいところです。
これから香港がどう変わっていくのか、極東アジアの情勢を知るためにも、定期的に香港を訪れることは大変有意義なことだと思います。