別訳【夢中問答集】第六十五問 心とはどんなもの? 3/3話

大日経には「全ての人々の心身は、太陽神である毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ=ヴァイローチャナ)とイコールである」と書かれておる。

また、次のような問答も伝わっておる。南陽の忠国師と僧の会話じゃ。

忠:「オマエはどこからきたのじゃ?」
僧:「南の方から来ました」
忠:「南方の師匠たちから何を教わったかな?」
僧:「身体が滅びても心は不滅なのだとか」
忠:「それは外道の考え方じゃ!」
僧:「……では、和尚の考えをお聞かせいただけますか?」
忠:「身体と心を分けて扱ってはならん!」

ほかにも中国の馮済川(ひょうさいせん)という人の故事がある。

馮済川は死体が描かれた絵を見て「やっぱり身体と心は別のものなのだ。ここに死体があるが、もう人間はいない。身体という皮袋に心が入ったものを人間というのだなぁ」と言ったのだが、それを聞いた大慧和尚、「死体が人間ではないというのは大間違いだ! 身体と心は一体不可分なのだ!!」と言ったとか。

馮済川が、いわゆる「神我の見(しんがのけん)」に陥っているのを叱ったのじゃな。

一般人にとっては馮済川の意見の方がよほどわかりやすく、大慧和尚こそ「ちょっと何言ってるかわからない」と思うのじゃが、大乗仏教は「身心一如」がお約束。

わからないからといってスルーしてしまっては進歩がないぞ!

こういった話は縁覚経や楞厳経(りょうごんきょう)などのお経にも詳しく書かれておるが、長くなるのでやめておこう。


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