【善財くんがゆく!】第八話 善財くん、初めて海を見る:第二の善知識・海雲比丘 (1)
潮の匂いがした。 善財は足を止める。 今まで嗅いだことのない匂いだった。 風は湿っていて、 どこか鉄のような、 鉱物の...
潮の匂いがした。 善財は足を止める。 今まで嗅いだことのない匂いだった。 風は湿っていて、 どこか鉄のような、 鉱物の...
善財は、 しばらく黙ったままだった。 自分が今、 何を見せられたのか。 何を聞いたのか。 うまく整理できない。 ...
善財は、 しばらく言葉を失っていた。 山の空気は静かだった。 風が吹き抜けるたび、 木々がざわりと揺れる。 だが、 ...
善財は恐る恐る口を開いた。 「あなたが……徳雲比丘なのですか?」 「ああ、たぶんな」 「たぶん?」 「今ちょっと忙し...
善財は南へ向かって歩き続けた。 町を離れるにつれ、 道は細く、空気は静かになっていく。 人の声よりも、 風に揺れる草木の音の...
翌朝。 ダニヤーカラの街は、まだ薄い朝霧の中にあった。 市場の店は閉まったまま。 通りを歩く人影もまばらで、 遠くから荷車の...
善財は家へ帰る道を、ゆっくり歩いていた。 頭の中では、まださっきの光景が何度もよみがえっている。 文殊菩薩の前に進み出たときのこ...
文殊菩薩に弟子入りして色々教えてもらおうと思っていた善財は、 思いもよらない提案に絶句した。 「オイ、善財……」 硬直...
やがて集会は終わった。 人々は感動の余韻に浸りながら、 次々と会場を後にしていく。 だが―― 善財だけは、その場を動かな...
そのころ―― 文殊菩薩は、正直なところ少し疲れていた。 一週間前。 コーサラ国の祇園精舎での説法にシャカムニ・ブッダから呼...