【善財くんがゆく!】第八話 善財くん、初めて海を見る:第二の善知識・海雲比丘 (5)
海雲は、 しばらく砂浜に描いた線を見つめていた。 波が来る。 線の端をさらっていく。 だが海雲は気にしない。 むし...
海雲は、 しばらく砂浜に描いた線を見つめていた。 波が来る。 線の端をさらっていく。 だが海雲は気にしない。 むし...
善財は、 しばらく海を見つめていた。 波は変わらず寄せては返している。 だが、 もう先ほどまでと同じ海には見えなかった。 ...
その瞬間。 善財は、 ほんの一瞬だけ錯覚した。 目の前の海が、 巨大な“意識”のように見えた。 無数の声。 無数...
善財は、 海雲の横顔を見つめた。 「向こうから…… 見え始める?」 海雲は頷く。 「うむ」 波が寄せる。 ...
潮の匂いがした。 善財は足を止める。 今まで嗅いだことのない匂いだった。 風は湿っていて、 どこか鉄のような、 鉱物の...
善財は、 しばらく黙ったままだった。 自分が今、 何を見せられたのか。 何を聞いたのか。 うまく整理できない。 ...
善財は、 しばらく言葉を失っていた。 山の空気は静かだった。 風が吹き抜けるたび、 木々がざわりと揺れる。 だが、 ...
善財は恐る恐る口を開いた。 「あなたが……徳雲比丘なのですか?」 「ああ、たぶんな」 「たぶん?」 「今ちょっと忙し...
善財は南へ向かって歩き続けた。 町を離れるにつれ、 道は細く、空気は静かになっていく。 人の声よりも、 風に揺れる草木の音の...
翌朝。 ダニヤーカラの街は、まだ薄い朝霧の中にあった。 市場の店は閉まったまま。 通りを歩く人影もまばらで、 遠くから荷車の...