コール&レスポンスと云えば、ジャズやブルース、ソウルなど、おもに洋楽にみられる応答文化だと思いこみがち。 でもじつは日本の歌舞伎には、素敵なコール&レスポンス文化が息づいている。
それは、「大向こう(おおむこう)」から舞台へ向けて飛ぶあの「かけ声」である。
大向こうとは、舞台からもっとも離れた席のことで、江戸時代から歌舞伎では、この席の観客たちが「いよっ、成田屋!」、「出ました10代目!」など、絶妙のタイミングで役者たちに声をかけていた。
じゃあ、3代目JSB(J Soul Brothers)のステージでは「いよっ、3代目!」とか声がかかるのか……。それはないだろう。でも、ファンたちは歌詞の一部を連呼し、お気に入りのメンバーの名前を叫び、そのステージに参加する。
歌舞伎でも、「大向こう」の人たち(どうも会員制らしい^^)が役者を引き立てるかけ声は、もはや舞台演出に無くてはならないものとなっている。
日本が誇るこのコール&レスポンス文化は、阿部サダヲや宮藤官九郎らが結成した「グループ魂」というパンクコミックバンドによって、「大江戸コールアンドレスポンス」というネタ芸に昇華されている。
ご存知の方も多いだろう。阿部サダヲが18代目中村勘三郎に扮し、舞台袖から他のメンバーが「中村屋!」といろいろなタイミングでかけ声をあげるネタだ。
なかでも、勘三郎が友人の葬式で弔辞を述べるネタが秀逸で、初めて聴く方はおそらく涙を流すに違いない。
「あの、ほら新宿にあるお店、ほら何と云ったっけ?」
「小料理屋!」
「サイゼリヤ!」
「……ちがうよ、おい」
という具合に、9分間のスピーチが続く。
◇ ◇ ◇ ◇
自分も毎週のように、舞台に立っている。
そこで、「いよっ、非常勤!」「ニッポンいちっ!」「コールさとう!」などと声がかかれば、こちらとしても悪い気はせず話しも勢いづくのだが、さすがにそういうことは一度も無い。
ただ、「はい、今日はこれでお話を終わります。」と告げたあと、温かい拍手をいただくことはたびたびある。そんな時はやはり、とても嬉しい。
「待ってました、先生!」と、大向こうから声がかかる授業を心がけているが、教室という舞台では教壇から席が離れれば離れるほど、話への関心も薄れるようだ。なかなか、歌舞伎のようにはいかない。
「ササッ!欲しい単位は、コールさとうに、アおまかせあれ〜っ!」
コール&レスポンス!
*大江戸コール&レスポンス 弔辞バージョン(グループ魂)https://www.youtube.com/watch?v=dEvFdr2w4Lk
祝辞バージョン
https://www.youtube.com/watch?v=Hp7WqHdn2PQ
ライブ締めバージョン
https://www.youtube.com/watch?v=ouRpFOtnx2I