絵を見物するのは面白い。
こんにちは。猫型宇宙人の猫丸です。
先日、ニッポンは東京の池袋という街で、「ホテル暴風雨2周年展」が開催されたので見物に行った。
絵を観たり陶器や縫いぐるみを観たり、惑星新聞をもらったり、トークショーに参加したり、トラと記念写真を撮ったりと面白い経験だった。夜中に忍び込んだり地球人や地球の物体に完璧に変装したりして行ったので誰も気づかなかったことだろうが、実は何度も会場に足を運んだのである。今日はこのホテル暴風雨2周年展と、面白い美術鑑賞について書きたい。
絵というのは、植物を平らに切り出した「板」や、植物から細い繊維を取ってそれを平らに整形した「紙」などに、これまた植物やら動物やら鉱物から取り出した「色素」を塗りつけて何かの色や形にするという、実に手間のかかった造形物である。何のためにこんなことをするのか、はじめはさっぱりわからなかったが、どうもただ「面白いから」らしいのだ。素晴らしい。地球に来たばかりの宇宙人の方にはぜひおすすめしたいし、言葉がわからなくても楽しめるので、外国に行った時の楽しみにもぴったりだ。
平面や立体の美術作品というのもフィクションの一種であろう。いや、地球では一般にそれらをフィクションとは呼ばないかもしれないが、私にとっての楽しみ方はまったく同じである。
地球在住のみなさんの中にはうん、絵を観るのは楽しいね、という方もいれば、絵なんか観てもさっぱりわからんという方もいるだろうが、今日は私のおすすめの美術鑑賞法をご紹介したい。ただし、「美術の鑑賞眼が身につく」などということはなく、あくまでも私にとって面白いだけなのでご注意されたし。
「この1枚」を選び、どこに飾るか考える
その時その時で色々な絵の楽しみ方をするほうである。重さを推測するとか一筆書きで描く方法を考えるとか、絵というのは一見つまらなくてもそれなりに楽しめるものなのだ。だがここでは地球人類のみなさんにも、より受け入れてもらいやすそうな方法をご紹介したい。
まず一番簡単なのは、「1枚買うならどれにするか」という目で見ることだ。
ギャラリーで絵を観れば大抵価格が表示してある。高いのもあれば安いのもある。非売のものもある。美術館の絵は普通は非売だ。だがここは、「これくらいなら買えるがこっちは難しい」など価格の高低を気にしたり、そもそも売っている絵かどうかを考えたりはせず、予算制限なしならどれにするかを妄想するのだ。「どれでも1枚もらえるならばどれにするか」でも可。しかし実際に買おうと思えば買えるギャラリーなどでは、「買うならどれか」とリアルに考えた方がスリリングで楽しめること請け合いだ。もちろん実際に買ってもいい。
そして買ったらどこに飾るか考える。実際の自分の部屋のどこか、でもいいが、自分が好きなように家を建てられるならどんな家を建ててどの部屋のどこに飾るか、まで想像するのもいい。実際に自分の家でも何でもない場所だっていいのだ。「ヴェルサイユ宮殿に飾る」「スペースシャトルの船内に飾る」「工事現場に飾る」でもいい。
だが絵の楽しみは飾るだけではない。と言っても、漬物石として使うだの枕にするだの転売するだのというのではない(そういう妄想も面白いかもしれないが)。
「この1枚」を選ぶ基準はもっと多彩でよいと思う。
入ってみたい絵を選ぶ
例えば、どれか1枚の絵の中に入れるならばどれにするか、という選び方もある。さて、やってみよう。
このパンの上に乗ってみたい。
この絵の中は、サクサク、カラリと、手触りの良さそうな世界だ。
着てみたい絵を選ぶ
絵を着る、という想像もなかなか面白い。絵柄をそのまま生地にして服に仕立てる、Tシャツにプリントするなど、具体的な想像をしてもいいが、もっと漠然とした妄想でも良い。
絵を立体投影した空気を自分のまわりに漂わせてみたい。もしくは、その素敵な洋服はどこで作られましたかと聞いてみたい。
たまには猫型をやめてフクロウ型になって真似したくなる。
質問したい絵
これは、「入ってみたい絵」と似ているが、絵の中の世界について、一体これはどうなっているのか?この人は何をしているのか?などと気になって仕方がない絵というのがある。その「気になる」度合いの高さで1枚選ぶのも乙である。
とても面白そうな本ですが何を読んでいるのですか?と気になって仕方がない。きっとすごく楽しい地球フィクションだろう。ちょっと読ませてもらえませんか。
以上、今回の展覧会での私の楽しみ方を少しだけご紹介した次第である。
最後に、冒頭の絵の説明をすると、会場にいたホワイトタイガーの子と私とで親近感の持てる絵はどれか話し合った結果、一致した絵だ。何と言ってもあの耳のアンテナだ。猫型宇宙人に違いない。
「猫丸の虚構研究」いかがでしたでしょうか。
猫型宇宙人・猫丸のホテル暴風雨での滞在ぶりは、ぜひこちらのマンガもご覧ください。
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次回もどうぞお楽しみに。