第122話 「飾れる小箱」ができるまで

昨年末、漆喰とタイルで年賀状用オブジェを作りました。

今まで家のリフォームの材料にしていたもので絵を描く感覚がとても面白くて、次はこんな作品を作りました。

家に比べると、短い時間で仕上がるのがまた楽しくて、もっとたくさん作りたくなりました。

ところで私は子どもの頃から、気に入った空き箱に手芸道具などを入れて使っています。

この缶は小学生の頃から持っていて、中にはビーズが入ってます。

見るだけでもうっとりするものが、入れ物にもなっているというのが、なんとも得したような嬉しい気分になります。

そこで、市販の小物入れに漆喰とタイルで絵を描くことを思いつきました。

「白鳥の湖」

こちらはトランプを仕舞うのにちょうど良いサイズです。

荷物受け取り用の印鑑を入れて玄関に置いておくのも便利でしょう。

「二人」

こちらは葉書を仕舞うのにちょうど良いサイズです。

ガラスのモザイクタイルを使用してます。

漆喰は練ると柔らかくなります。粘土よりは柔らかく、生クリームよりは硬く練り込んでモチーフを形成します。

「一羽」

こちらは絵の具を仕舞うのも良いですが、ここだけの話、お札を折らずに仕舞えるので、へそくりを隠すのに如何でしょう?

漆喰は、はじめのうちは粉や破片が出ますが、だんだん落ち着きます。また、小さなひび割れが生じることもあります。そのような朽ちた雰囲気も漆喰の味わいではないでしょうか。

そして最大の魅力は、漆喰もタイルも建築材なので基本的にはとても丈夫です。

このような、世の中にありそうでないような、ちょっと変わった「飾れる小箱」の誕生にワクワクして、沢山の人にお披露目したくなり、目白にある絵本の古本と木のおもちゃの店、貝の小鳥さんにお願いして置いていただきました。

異国の素敵な木のお人形達に囲まれて、小箱が緊張しているのが伝わってくるのは私だけでしょうか。

一点もののアート作品としてではなく、雑貨として気軽に使っていただきたくて、二千円台からというお値段に設定しました。

機会がございましたら、お手に取って漆喰の優しい手触りを感じていただけたら幸いです。

(津川聡子 作)


*編集後記*   by ホテル暴風雨オーナー雨こと 斎藤雨梟

津川聡子作「やっとこ!サトコ なう」「第122話 『飾れる小箱』ができるまで」いかがでしたでしょうか。

美しい絵のついた箱や缶にはそれだけで秘密めいた魔力がありますね。サトコさんの箱コレクションもすばらしいですが、漆喰とモザイクタイルで作ってしまうアイディアはさすが「おうちアーティスト」です(私が今、命名)!! こんな小箱にトランプや絵の具、へそくりをしまいたいですねえ〜。あえて箱の真ん中に、小さくさりげないものを一つだけしまっておく、なんてのも粋というもの。たとえば何だろう、旅行で拾った木の実とか貝殻とかセミの抜け殻とか。妄想がふくらんできた方、今度のお休みは目白の「貝の小鳥」へお散歩がてらどうぞ。

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