別訳【夢中問答集】第五十問 心身を用いた修行は意味なし?

足利直義:しかし和尚、お経に書かれている修行方法はといえば、程度の差こそあれ心身を用いたものばかりです。
和尚はそれらを否定しようとおっしゃるのですね?

夢窓国師:そうやってすぐに揚げ足を取ろうとするのがオマエの悪いところじゃ!(苦笑)

同じ仏教でも宗派によってやり方が違うという話とその理由については既に説明したハズじゃ。同じ山に登るのでも色々な登り方があるというわけじゃな。

特にテキストを重視する某メジャー派閥では、仏と一般人を区別して考えておるので「仏になるため」の様々な手段を具体的に用意しておる。オマエが言っておるのはそのことじゃろう?

一方、我が禅宗にあっては仏と一般人の区別が生じる前の状態に戻ることを目指しておるので、枠にハマった修行方法は存在しない。

・・・座禅の話は今は横に置いておいてくれ。

禅宗第三代伝承者の僧璨(そうさん)和尚は「意識を意識で操作しようというのは大間違いだ!」と言っておる。

「無用心」こそが「仏の用心」じゃというわけじゃ!


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