足利直義:なるほど……
ところでテキストを重視する宗派においては「大・小、真実・方便を区別して扱う」のだそうですが、これはなぜでしょうか?
夢窓国師:それはひとえに修行者の理解度にバラツキがあるためじゃ。
「究極の境地において大・小、真実・方便の区別などない」というのはこれまで口を酸っぱくして説明してきたところなのじゃがな。
法華経に「如来は同じことしか言わないが、聴き手の能力や性格がひとつではないので、みなそれぞれ自分のレベルに合った受け止め方をする。たとえば天から雨が降ったとき、草木はその高さや枝の長さ、葉の大きさなどによってそれぞれに受け止める水分の量が異なるようなものだ」、と書かれておるのは、つまりこのことじゃな。
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