その後住職となった雪峰和尚は弟子たちの前でこんなことを言ったそうです。
「実はこの山には鼻の平たい毒ヘビがいるのだ。諸君、よくよく注意するように!」
この話を聞いた弟子の長慶くんは言いました。
「おっと!死ぬのは誰かな!?」
それを聞いた弟子の玄沙くんは言いました。
「死ぬのは稜(りょう。長慶のファーストネーム)兄さんだけで充分ですよ。なんでまた山なんか持ち出すかなぁ・・・」
また、弟子の雲門くんは杖にヘビをひっかけるパントマイムをした挙句に雪峰和尚の顔の前に突き出し、恐れをなす仕草をしたとか。
黄檗和尚は百丈和尚の弟子だった時、師匠に「どこまで行ってきた?」と尋ねられて「キノコ採りに行ってきました。」と答えたところ「トラと会わなかったか?」と言われ、トラの声で吠えてみせたところ師匠が斧で斬りかかるそぶりをしたのでワンパンチで殴り倒したとか。
殴られた百丈和尚はクックッと声を押し殺して笑いながら演壇に登り、弟子たちに対して言いました。
「この山にはトラがいるぞ!諸君、よくよく注意するように!ワシは今日、ガブリとやられちまったよ!」
一方、趙州和尚と弟子の問答。
弟子:「和尚は何を尋ねても「喫茶去(きっさこ。茶でも飲んで目を覚ましてこい!の意)」とお答えになりますが、これはいったいどういう意味なのでしょうか?」
趙州:「おいオマエ。」
弟子:「ハイ、なんでございましょう?」
趙州:「喫茶去!」
また、紫胡(しこ)和尚の寺の入口の立て札には「猛犬注意」と書いてあり、入ってくる人を見つけたら「犬を見ろっ!」と怒鳴りつけ、その人がビックリして振り向いた隙に部屋に戻ってしまうのが、彼のいつものやり方だったとか。
※前出「火を渡る仏 2/3話」参照。
―――――つづく