さて、ここで読者の皆さんに質問です。
もしも「実はこの山には鼻の平たい毒ヘビがいるのだ。諸君、よくよく注意するように!」などとわけのわからないことを言われたとしたなら、皆さんはいったいどう対応しますか?
既にいくつか前例を挙げましたが、それはそれとして貴方のオリジナルのツッコミを是非聞かせてくださいな。
え? 意味不明ですって? まぁ、普通はそんな感じで対応に困るでしょうね。(笑)
ちなみに先に挙げた長慶くんら3人の弟子の対応について、彼らの後輩にあたる真浄和尚はこんな風にコメントしています。
「長慶さんは師匠のボケに全部のっかるスタイル、雲門さんはお得意の無言ノリツッコミでどちらもなかなか見事なもんです。しかしまぁ、ここで一番上手かったのは玄沙さんかな。「鼻の平たい毒ヘビ」って実は玄沙さんなのかも。さりげなく毒を吐いたりもしているし。」
後日、玄沙和尚は「和尚は昔、「山なんか持ち出してどうするのだ!」とおっしゃったそうですが、和尚ならどうするつもりだったのですか?」と逆に問われて、「山なんか持ち出してどうするのだ?」と返したそうです。
いよいよもって、わけがわかりませんね。(笑)
私の師匠である雪竇和尚は、かつてこんなことを言っていました。
「ワシの師匠の法演和尚は、かつてこう仰った。「鼻の平らな毒ヘビと出会ってしまった時はな、首の七寸(約20cm)下あたりをぎゅっとつかむんだ。そうすれば噛みつかれずに済む。ワシはそんなことができるヤツと一緒にどこまでも行きたいと思っているのじゃ!」、とな。」
雪竇和尚は、こうも言っていました。
「ワシはそんな「山」を求めて四方八方探してみたが、結局どこにも見つからなかった。きっと雲門和尚が雪峰和尚に突き出した杖が変化したグレートドラゴンが、この世界もろとも呑み込んでしまったのかも知れないな。」
杖が龍になったりヘビになったりする? ・・・こりゃまたいったい、なんの話でしょうね?
ちなみにこの後、雪竇和尚はさらに続けて「ワシが今いるこの山こそが、「鼻の平らな毒ヘビ」が出る山なのかも知れないぞ! そらっ! 足元を見ろっ!!」と叫ぶなり、私を杖で思いっきり打ちすえましたっけ。
これって、私は「ガブリとやられちまった」ということでしょうかね?(苦笑)
読者の皆さんも、充分にご用心、ご用心・・・
<毒ヘビ注意! 完>
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