馬大師の四句百非 3/5話 (出典:碧巌録第七十三則「馬大師四句百非」)

で、智藏和尚に「なぜ馬大師に直接聞かないのか?」と聞かれた僧は「だって和尚がアナタに聞けって・・・」などと言ってしまう。・・・もはやギャグですな。w

「オレはアタマが痛いから百丈の兄貴に聞け!」と言われた僧は、言われるがままに百丈和尚のところに行って「オレもわからん!」と言われてしまうわけなのですが、ここで一人は「アタマが痛い」と言い、もう一人は「わからん」と言ったのは、果たして何故なのでしょうか?

で、戻ってきた僧からことの顛末を聞いた馬大師は智藏は真っ白け、百丈は真っ黒け」と言うのですが、傍からは単にこの僧は三人におちょくられただけにしか見えませんよね。

ある人は「たらい回しにされただけだよね。」と言い、またある人は「いやいや、質問の趣旨をよく理解した上で、敢えて回答しなかったんだよ。」などと言いますが、これらは全て折角のご馳走に毒を塗りつけるようなマネと言わざるを得ません。

馬大師はかつて同趣旨の質問に対して「オマエが西江の河の水を一口で飲み干すことができるようになったら教えてやるよ!」と答えたといいますが、実はこれと今回のエピソードは全く同じ構図なのです。「智藏は真っ白け、百丈は真っ黒け」の意味がわかった時、この水の話もきっと腑に落ちるハズ。

この僧は遺憾なくボンクラぶりを発揮して、三人の禅師の前で恥をかきまくった挙げ句に納得のいく答えを聞くことができなかったわけなのですが、三人の芸風の違いについてはよくわかったのではないかと。w

今どきの人たちは言葉づらをあげつらうことしか知りませんので、このエピソードだって「白はベタ、黒はシュールな芸風のことだよね?」ぐらいの理解で勝手に納得してしまって終わりです。

禅の達人たちの一句はそんなに軽々しいものではありません。

それはあたかも門の裏側に剣を構えた暗殺者が隠れているようなものであって、一瞬でもためらえば即死間違いなしの凄みがあるのです。

―――――つづく

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