2.「色不異空」~「無所得故」:<諸々の教えを分類して説くパート>
一:建(宇宙の成立):「色不異空」~「亦復如是」
普賢菩薩はかつて、「人間を含む万物はみな、それぞれが独自性を保ったままで分け隔てなく平等である。だからこそ、この宇宙は成立しているのだ!」という悟りに達し、「建立如来」の称号を得た。
故にこれを「建」と名づける。
普賢菩薩は、如来たちが保持する「悟りを求める心」と「修行」を具現化した存在なのだ。
これをつなげて現代語訳するならば、以下のようなものになる。
「究極のところ全ては「空」なのだが、それと現象として現れている物質的存在「色」とは決して別々の存在ではない。
現象と理法は同一のものであって、お互い妨げなく融通するものなのだ。
金鉱石はそのままでは価値がわからないが、精錬して金獅子像にしたならば誰でもその価値を理解できることだろう。
また、煩悩は海にたつ荒波のようなものであり、波が静まればまた元の海に戻るのだ。
二:絶(執着の切断):「是諸法空相」~「不増不滅」
文殊菩薩は、言語による虚構を打ち砕くのを得意とする菩薩であるが故に「無戯論如来」の名で呼ばれる。
彼の持つ「八不(=不生・不滅・不断・不常・不一・不異・不来・不去)の剣は、我らの煩悩をバッサリ切り捨ててくれる。
故にこれを「絶」と名付ける。
これをつなげて現代語訳するならば、以下のようなものになる。
あらゆる差別・区別は実在しない。
ただ、「空」のみが最高の真理なのだ。
ここから生まれてくる慈悲や救済の働きは実に奥深い。
―――――つづく