いのちをつないできたコール&レスポンス

幼い頃に自分たちがやっていたコール&レスポンスを思い出すことが大切。そうは言うものの、どうやって思い出したらよいのでしょう。

ジェームス・ブラウンを引き合いに出して「コールとレスポンス」と言っても、音楽をあまり聴かない人は、自分には関係なさそうだなあと思っているかもしれませんね。
でもそんなあなたも、生まれてすぐにコール&レスポンスをし、そのやりとりの中で大きくなってきたのです。

生まれたばかりの赤ん坊は、およそ2000から3000グラム。目はまだよく見えていませんが、オギャーという全身を使って出す鳴き声で、自分の存在を知らせます。

「オギャー、からだを拭いてくれ」
「オギャー、まだよく見えないけど誰かいるの?」
「オギャー、産道を旅してきて小腹が空いた〜」
「オギャー、とりあえず母乳をちょうだーい」
「オギャー、ちょっと暑いかも」

われわれは数え切れないほどのコールをし、それに応える保護者や肉親がいたからこそ、こうして生きてこられました。もし自分の幼い頃のコールに、ひとつひとつレスポンスが無かったら……と思うとゾッとします。
そう、コール&レスポンスは、われわれの原初の時間においては、自分のいのちをつないでくれるやりとりだったのです。
ところが成長して個々人の生活時間を優位に考える大人になってしまうと、この原初のコール&レスポンスを思い出すことが難しくなります。

でも、心身の調子が悪くなり長期・短期で病院にお世話になる機会があると、われわれは思い出すのです。コールに応えるひとがいてくれるから、治療も安心して受けられるのだと。
施設の部屋の中、ベッドサイドのそのボタンをわれわれは「ナース・コール Nurse Call」と呼びます。
コールしたらレスポンスがあるということを信じているから、必要な時にわれわれはボタンを押します。ケアワーカーの皆さんは、それに応える。これは、あらためて説明する必要がないほど当たり前のような医療システムですが、それを支えている行動原理はコール&レスポンスです。それが入所者・利用者の心身の健康を守り、いのちをつないでいくわけです。

皆さんの誕生日を良いきっかけにして、自身の原初のコール&レスポンスを想像し、また誕生の日のことを親に聞いてみてはいかがでしょうか。

コール&レスポンス!


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