皆さんは、TEDという米国の非営利団体が主催する「TEDトーク」というイベントをご存知だろうか。
TEDとは、テクノロジー、エンターテイメント、デザインの頭文字をつなげた造語だ。ビジネス、科学、文学、宗教、エンターテイメントなど、様々な分野で活躍する人を招き、その人の考えを語ってもらう講演会がTED Talksとして開催され、動画が世界中に配信されている。
日本でも、「TED×開催都市(東京や大阪など)」というイベントが開かれ、とてもブライトなプレゼンテーションを展開する講師が参加している。
人前で考えを述べ、効果的にそれを表現するのが苦手なひとが多い(とされる)日本社会では、このTEDはプレゼン力を鍛える機会として人気がある。
TEDに先立って話題となった、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授による「ハーバード・白熱教室」も、学生たちが活発な議論をして問いに向き合い答えを出していくアクティブ・ラーニング(能動的学習)のサンプルとして、日本では評判となった。
しかし日本語でも英語でも、妙によどみなく言葉を述べる人への最も基本的な対応・反応は、「その言葉を鵜呑みにしないこと」だ。
特に、お金が絡む交渉(商談、ディスカウントのやりとりなど)では、相手の言葉を受けとめつつ返す“押し引き”が出来るかどうかがとても大切。これは、買い物の場面でわれわれが普通に体験していることだ。
しかし、品良く整えられた講演のステージや学術研究会の場では、こうした常識的反応を簡単に手放してしまうことがなんと多いことか。
「鵜呑みにしない」というのはもちろん、ただ相手の話を疑うということではなく、まず自分の身の丈で考えてみる時間をもつということだ。そのために多少の間(ま)が出来たとしても、相手に優位なかたちで交渉や議論を寄り切られるよりはマシだと思う。
なんてことを書くと、コールさとうは臆病で対話や議論が苦手なのか? 何がコール&レスポンスだ?!などと批判されそう。そう、僕は対人関係には臆病で、議論も苦手……。正確には、TEDで「頭良さそうにTEDでプレゼンする方法」を披瀝しているウィル・スティーブンスが示す、あるタイプの発表者・主張者についていけないのだ。
以下の動画を観て、ウイットとユーモアに富んだウィルのTED風プレゼンテーション批評をぜひ味わってほしい。コール&レスポンスの間やリズムには、無限のパターンがあり、プレゼンテーションへの聴き手の反応も多様であっていい。それが理解できると思う。
■■ウィル・スティーブンス「頭良さそうにTED風プレゼンをする方法」■■
https://www.youtube.com/watch?v=ToJD5r2SmwI
コール&レスポンス!